[II-P-074] 当院における小児特発性拘束型心筋症の臨床的検討
キーワード:拘束型心筋症, 小児, 予後
【背景】特発性拘束型心筋症(RCM)は、左室の収縮機能はほぼ正常で心室拡張期容積の拡大はないが、左室の著明な拡張障害を特徴とする心筋疾患である。小児期の特発性心筋症の中では、まれで全体の2~5%である。内科的治療に対する反応性に乏しく非常に予後が不良であり、心臓移植の対象疾患である。【目的】私たちが経験した小児期発症のRCMについて検討し、臨床像、予後を明らかにする。【方法】1998年から2014年7月までにRCMと診断された15歳以下の患者を対象に、発症(診断)時年齢、診断の契機、症状、治療、予後などについて後方視的に検討した。【結果】4例(男児のみ4例)、診断時年齢;5歳~13歳、家族歴;0例、診断の契機;学校心電図検診 3例(左心房負荷2例、右脚ブロック2例、異常Q波 1例) 、心不全 1例、診断時の症状;症状なし 2例、重度の倦怠感 1例、軽度の疲労感 1例、経過中の症状;労作時呼吸困難 2例、倦怠感 1例、浮腫 1例、胸痛 1例、特になし 1例、検査;心臓カテーテル検査 4例、心筋生検 3例、治療;内科的治療(利尿剤、抗凝固療法、ACE阻害剤、運動制限など) 3例、心臓移植 1例、予後;生存 4例、経過観察期間;1年、4年、8年、15年(現在は、他院でのフォロー)【結語】現在当院で経験している症例は、内科的治療中においても、幸い全員生存しているが、今後症状の悪化が懸念される。最終的には、心臓移植適応になる可能性が高いため、その準備を行いながら治療を進めていく必要がある。なお、早期の学校心電図検診のシステムがある日本では、今回の症例のように、無症状の初期段階で発見されることが多いため、予後の改善にならないか期待したいところである。