第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-10 心筋心膜疾患

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心筋症①

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:武田 充人 (北海道大学)

II-P-074~II-P-078

[II-P-076] 肥大型心筋症の管理に難渋した妖精症の1例

前澤 身江子1, 小宮 枝里子1, 高橋 暁子2, 西岡 正人2 (1.川口市立医療センター 新生児集中治療科, 2.川口市立医療センター 小児科)

Keywords:妖精症, 肥大型心筋症, 高インスリン血症

【背景】妖精症はインスリン受容体異常症の最重症型で、乳児期死亡が多い。死因ともなる重症な合併症として肥大型心筋症(HCM)が知られている。HCMの管理に難渋した1例を経験したので報告する。【症例】在胎36週2日に子宮内胎児発育遅延のため選択的帝王切開で出生した女児。日齢8に高血糖、高インスリン血症を認め、身体所見と合わせ妖精症と診断した。日齢12よりインスリン持続投与を開始したが、血糖コントロールが不良のため日齢27よりIGF―1製剤を0.3mg/dayより開始漸増し、日齢34にインスリンを離脱しえた。一方で、生後2ヶ月頃より心筋肥大が進行し、高血圧を認めHCMと診断した。propranolol を開始し、1.5mg/kg/dayまで漸増したが、左室流出路狭窄が進行し圧較差が70mmHgまで増大し閉塞性肥大型心筋症となった。HCMの増悪と空腹時低血糖が著明であるためIGF-1製剤を0.05mg/dayまで漸減したが、流出路狭窄は改善せずpropranololの効果が不十分と考え、日齢85よりcarvedilol を開始漸増し、propranololは漸減中止した。carvedilolを0.2mg/kg/day まで増量した日齢105より左室内圧較差は改善した。胆汁鬱滞、成長率の増悪を認め、IGF-1製剤は0.6mg/dayに増量したが、左室内圧較差の増悪は認めず外来経過観察中である。【考察】本症例のHCMの増悪因子として、長期間の高インスリン血症、IGF-1製剤の影響が考えられる。IGF-1投与により血糖コントロール、成長率の改善を認めたが、治療中にHCMの増悪を認めた。流出路狭窄が進行した危機的な状態を乗り越えるにあたってcarvedilolが有用であったと思われた。IGF-1の増量に伴い再増悪の可能性もあり、今後慎重な経過観察が必要である。