[II-P-083] CRT施行後5年以上経過良好なDCM患者2例
Keywords:心臓再同期療法, 拡張型心筋症, 心不全
【背景】小児領域においても慢性心不全に対する心臓再同期療法(CRT)がおこなわれ有効性が報告されているが、その遠隔成績は明らかではない。【目的】CRT施行後5年以上経過良好な小児DCM患者について、導入から現在までのペースメーカー設定、臨床経過を報告する。【症例】CRT (Frontier II, St. Jude Medical) 施行中のDCM患者2例(CRT施行開始平均年齢13.7カ月、平均観察期間60.3カ月)。2例ともにwideQRSを伴い術前スペックルトラッキング法 (2DST法)にてdyssynchronyを確認した。ペーシングリードはmechanical dyssynchronyが最も改善する部位に植え込み、大動脈弁口velocity time integral (VTI) を測定し、AVおよびVV delayの至適化を継時的におこなった。(症例1) NYHA : IV度→I度、胸部X-p: CTR 71→54 %、LVDd: 215→115 %N、BNP: 1670→15.4 pg/ml、QRS時間: 148→124 msec、(症例2) NYHA : III度→I度、胸部X-p: CTR 72→60 %、LVDd: 198→103 %N、BNP: 221→5.8 pg/ml、QRS時間: 136→104 msecとそれぞれ改善を示した。2例ともに、現在まで心不全増悪による入院歴はなく、ペースメーカーは99%以上A-sense V-pacingを継続中であった。VVdelay設定は2例ともsimultaneousとなり、2DSTにて術前認めたdyssynchronyは初期より劇的に改善し現在まで維持していた。β遮断剤など他の抗心不全療法は継続していた。短時間のCRT off時評価では、2症例ともに、明らかなdyssynchronyの再発は認めなかった。【結語】CRT施行後長期にわたり経過良好なDCM患者2例を報告した。CRT導入によりmechanicalおよびelectrical dyssynchronyが改善し、β遮断剤などの内科的治療を継続することにより、reverse remodelingとvolume reductionが進み、CRT導入後も長期にわたり良好な心機能が維持されていると考えられた。将来CRTから離脱の可能性についてはさらなる検討が必要と考えている。