第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

3-01 その他

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心不全②

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:手島 秀剛 (長崎医療センター)

II-P-084~II-P-088

[II-P-085] 心室中隔欠損術後、大動脈二尖弁の遠隔期に強い心筋障害を来し心臓移植申請中である一例

今岡 のり, 篠原 徹, 上嶋 和史, 竹村 司 (近畿大学医学部 小児科)

Keywords:心室中隔欠損術後, 心筋障害, 心臓移植

【症例】18歳男性。心室中隔欠損、肺高血圧に対し生後1か月時に心内修復術を施行。9歳頃に大動脈二尖弁に伴う大動脈弁逆流が出現した。当時の心ポンプ機能は心エコーでFS44%であり、自覚症状は認めなかった。年2回の追跡をしていたが自己休診が多かった。2014年7月頃から労作時の呼吸苦を自覚し久しぶりに来院した。胸部写真の心胸廓比は59%、心エコーでLVDd92mm、LVDs83mm、FS9%と左室拡大と心ポンプ機能の低下を認め、大動脈弁逆流は3度と進行していた。二次性の心筋障害、心不全として利尿薬、カルベジロール等の内服を開始したが効果は薄く、心不全はさらに増悪した。10月には日常動作でも呼吸困難が出現しDOA、PDE阻害薬を開始。その後DOBも併用とした。心室期外収縮から心室頻拍を来すためリドカインの持続点滴とアミオダロンの内服も開始した。左室拡大と低心ポンプ機能はその後も進行し、内科治療の限界と判断し心臓移植の申請を行った。その後、準緊急的に大動脈弁置換術と補助人工心臓の植え込みを行い、現在心臓移植の待機中である。【考察】検討事項は、1心筋傷害の原因、2大動脈弁置換術の実施時期、の2点である。前者については生後1か月での外科治療、大動脈弁逆流の進行、心筋炎の罹患、心筋症の顕在化などが考えられる。16歳秋のLVDdは68mm、FSは25%、大動脈弁逆流は2~3度と心ポンプ機能の低下と左室拡大を認めるため、定期受診と運動制限を指示したが服薬には消極的であった。未受診間隔2年弱での症状・所見は大きく進行し、心筋障害の原因に複数因子の関与が考えられた。後者は原因とも関連する。単独の大動脈弁逆流患者の手術回避許容年数は比較的長く小児期をさけ成人期以降に弁置換を行ってきた。しかし、心ポンプ機能不全を伴う場合の手術時期は使用できる弁サイズや性別にも関係するが注意が必要である。