[II-P-091] 先天性心疾患合併があってもNYHA分類1度であれば妊娠・分娩は安全に経過できるのではなかろうか
キーワード:先天性心疾患, 妊娠, NYHA分類
【目的】先天性心疾患などを合併し、成人に達した女性の妊娠・分娩について専門医による管理が無くても問題なく経過できる目安を自験例から検討する。【方法】先天性(1例は後天性)心疾患合併妊娠・分娩を経験した5例7妊娠につき後方視的に検討した。対象は(1)心室中隔欠損(VSD)、(2)VSD+左肺動脈閉鎖(L-PA atresia)、(3)大動脈宿窄(Co/Ao)バルーン血管形成術後、(4)L-PA atresia、(5)リウマチ性大動脈弁閉鎖不全(AR)のそれぞれ1例ずつ合計5例。妊娠時投薬を受けていたものは(5)のみで、ペニシリン予防内服であった。妊娠経過前~中、心不全、不整脈などcriticalな合併症が生じた例は無かった。(1)は妊娠~分娩まで専門医の診療を一度も受けなかった。他の4例は妊娠初期(妊娠と診断されてから1ヶ月以内)、18週、35週前後、分娩後1ヶ月に専門医が診察。心エコー図、心電図、胸部XPなどを実施した。5例とも妊娠前、NYHA分類1度 で、不整脈などはなかった。【成績】5例7妊娠すべてで新たな投薬などの治療が必要な心不全、不整脈などの発生は無く、満期まで妊娠を維持できた。分娩も1例で分娩が産科的理由(分娩停止)による帝王切開であった以外は全例経膣分娩であった。出産後も同様に良好に経過した。また、いずれの症例の児も特に問題は認めなかった。今回の検討では不整脈合併例が無かったことから、その合併例には別途検討が必要と思われる。【結論】1)先天性心疾患合併妊娠であっても妊娠前NYHA分類1度 であれば安全に妊娠・分娩が可能であると思われる。2)不整脈合併例については今後検討を要する。