[II-P-094] 先天性心疾患児における、Valsalva手技による血圧・心拍数の変化の検討
キーワード:Valsalva, バルサルバ, 自律神経
【背景】Valsalva手技による一過性の胸腔内圧上昇による循環変動は、臨床における圧受容体反射の機能テストとして用いることができ、自律神経障害により圧受容体機能が低下している人においては、第2相の血圧低下が遷延し、第4相の血圧上昇と反射性徐脈がみられない。【目的】先天性心疾患患者におけるValsalva手技の反応を比較・検討する。【対象】先天性心疾患を有し、当院において2013年4月から2015年12月までに心臓カテーテル検査を受けValsalva手技が可能であった患者20名(平均年齢8.2歳±4.5歳)。【方法】心臓カテーテル検査時に、全身麻酔下患者にはValsalva手技として、15秒間、30cmH2Oの吸気圧を持続して施行した。また覚醒状態の患者では息こらえを15秒間施行させた。Valsalva手技前後から第1~4相の間の、最大収縮期大動脈圧・最少収縮期大動脈圧・心拍数の変化を比較検討した。【結果】20例中7例で、第2相に見られるべき心拍数の上昇が認められなかった。また、4例で15秒までに第2相の血圧低下が止まらなかった。11例において、第3相に見られるべき血圧低下が認められなかった。13例において、第4相での典型的な反射性徐脈が認められなかった。第2相の最少収縮期大動脈圧とValsalva手技前の収縮期大動脈の比は、BNP(r2=0.17)およびトレッドミル血圧変動(r2=0.81)と有意な相関を示した。【結論】先天性心疾患児は、自律神経障害を合併している可能性が多いことが示唆された。今後、他の自律神経機能検査、患者背景、予後との関連の詳細を検討し、簡便な自律神経機能評価としての本手技の先天性心疾患患者管理における意義、有用性に関し評価する価値があると思われた。