[II-P-095] Fontan術後患者における酸素療法の意義
キーワード:Fontan術後, 酸素療法, 交感神経抑制効果
【背景】 Fontan術後患者においては遠隔期Failureをいかに減らすかが重要な課題である。適度な酸素投与は組織酸素運搬の改善に加え、肺血管抵抗の減少、さらには交感神経系抑制効果が得られることでより良いFontan循環の維持が期待できる可能性があり、夜間在宅酸素療法はFontan術後遠隔期予後改善に役立つ可能性がある。今回、Fontan循環における酸素の効果について血行動態パラメータの変化をもとに検証した。【方法と結果】 開窓Fontan 術後、28症例(術後年数中央値7.72年:0.65-19.2年)を対象に外来受診時に酸素投与(鼻カテ2l/min)を行い血行動態への影響および効果について検討した。酸素投与5分後、全体で、SPO2は93±3%から96±2%に有意に上昇、HRは 80±12から75±11に有意に低下した。心拍変動解析にてLF/HFは有意に低下し、交感神経の抑制が支持された(p<0.05)。さらに、心拍出量(CI)は3.1±0.5から2.9±0.5へ低下し、Pressure work indexから推定される心筋酸素消費量も有意な低下を示した。酸素投与5分後にHRの明らかな低下がみられなった症例も4例存在したが、この群においては残りの症例群に比べて酸素投与前のHR(67.0±15.0)、CI(2.3±0.8)が低く、Rpが有意に高い特徴を有していたが、酸素投与によりRpの有意な低下とCIの有意な上昇を認めた。心拍変動解析でのLF/HFはどちらの群でも低下を認めた。【考察】 Fontan術後における酸素投与は、血行動態への影響は一様ではなく、心拍数低下のいかんにかかわらず、交感神経興奮を抑制し、不必要な心臓仕事量は低下させる一方で組織循環改善に働く。今後、慢性効果を評価し、遠隔期予後改善につながる治療法としての検証を行いたい。