第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-12 自律神経・神経体液因子・心肺機能

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自律神経・神経体液因子・心肺機能

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:32 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:馬場 礼三 (あいち小児保健医療総合センター)

II-P-094~II-P-100

[II-P-095] Fontan術後患者における酸素療法の意義

桑田 聖子1,2, 栗嶋 クララ1, 梁 明子1, 金 晶恵1, 岩本 洋一1, 齋木 宏文1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科, 2.榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:Fontan術後, 酸素療法, 交感神経抑制効果

【背景】 Fontan術後患者においては遠隔期Failureをいかに減らすかが重要な課題である。適度な酸素投与は組織酸素運搬の改善に加え、肺血管抵抗の減少、さらには交感神経系抑制効果が得られることでより良いFontan循環の維持が期待できる可能性があり、夜間在宅酸素療法はFontan術後遠隔期予後改善に役立つ可能性がある。今回、Fontan循環における酸素の効果について血行動態パラメータの変化をもとに検証した。【方法と結果】 開窓Fontan 術後、28症例(術後年数中央値7.72年:0.65-19.2年)を対象に外来受診時に酸素投与(鼻カテ2l/min)を行い血行動態への影響および効果について検討した。酸素投与5分後、全体で、SPO2は93±3%から96±2%に有意に上昇、HRは 80±12から75±11に有意に低下した。心拍変動解析にてLF/HFは有意に低下し、交感神経の抑制が支持された(p<0.05)。さらに、心拍出量(CI)は3.1±0.5から2.9±0.5へ低下し、Pressure work indexから推定される心筋酸素消費量も有意な低下を示した。酸素投与5分後にHRの明らかな低下がみられなった症例も4例存在したが、この群においては残りの症例群に比べて酸素投与前のHR(67.0±15.0)、CI(2.3±0.8)が低く、Rpが有意に高い特徴を有していたが、酸素投与によりRpの有意な低下とCIの有意な上昇を認めた。心拍変動解析でのLF/HFはどちらの群でも低下を認めた。【考察】 Fontan術後における酸素投与は、血行動態への影響は一様ではなく、心拍数低下のいかんにかかわらず、交感神経興奮を抑制し、不必要な心臓仕事量は低下させる一方で組織循環改善に働く。今後、慢性効果を評価し、遠隔期予後改善につながる治療法としての検証を行いたい。