第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-13 術後遠隔期・合併症・発達

ポスター
術後遠隔期の諸問題

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:26 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:宮本 朋幸 (横須賀市立うわまち病院)

II-P-101~II-P-106

[II-P-101] 左室狭小型房室中隔欠損症の二心室修復後の左室機能の検討

羽二生 尚訓, 馬場 恵史, 塚田 正範, 星名 哲, 鈴木 博 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野)

キーワード:房室中隔欠損症, 二心室修復, 左室狭小

【背景】完全型房室中隔欠損症(cAVSD)において、左室および右室の容積は二心室修復が可能か判断する上で極めて重要な要素である。左室狭小型cAVSDの二心室修復の際、左室の必要な容積の評価としていくつかの指標が提唱されているものの、術後の左室機能への懸念は残る。さらに左室狭小型cAVSDの二心室修復後の左室機能の評価、特に心臓カテーテル検査による評価に関しての報告は乏しい。我々は二心室修復を行った左室狭小型cAVSDを術後1年目にカテーテル検査で評価し、左室狭小のないcAVSDと比較検討した。【対象】cAVSDと診断され、2001年から2014年までに当院で二心室修復術と術後1年のカテーテル検査を施行された12例。二心室修復術前のカテーテル検査で左室拡張末期容積指数正常比(LVEDV%N)が90%未満のものをS群(4例)、90%以上のものをN群(8例)とした。Down症はN群の1例を除く11例で、全例二心室修復術に先行して肺動脈絞扼術を施行された。非Down症の1例は一期的に二心室修復術を施行された。房室弁はN群に1例のRastelli C型が含まれるが、他はすべてA型だった。【結果】術前のLVEDV%Nの平均はS群80.2%(73-87%)、N群129.5%(94-204%)、Qp/QsはS群2.0、N群1.6だった。全例に肺高血圧を認めた。moderate以上の左側房室弁逆流はS群1例、N群1例だった。二心室修復時の平均年齢はS群20.5±12.1か月、N群18.1±7.7か月だった。術後カテーテル検査の結果は、S群 vs N群でLVEDV%N:102.8±13.7% vs 136.8±24.1%、LVEDP:10.5±3.1 vs 11.8±2.7mmHg、PAWP:9.2±3.8 vs 10.2±1.5mmHg、mPAP:17.2±6.1 vs 21.7±4.0mmHgだった。術後LVEDV%Nは有意にS群が小さかったが(P<0.05)、LVEDP、PAWP、mPAPに有意差はなかった。肺高血圧残存はS群2例、N群6例だった。術後moderate以上の僧房弁逆流はS群1例 、N群2例だった。【結語】左室狭小型cAVSDでも術後の左室機能は良好で、左室狭小のないものと比べ遜色はなかった。