[II-P-102] 心房スイッチ術後にジャテン手術を施行した完全大血管転位症の術後遠隔期左室機能について
Keywords:完全大血管転位症, 心房スイッチ術, ジャテン手術
【背景】完全大血管転位症(TGA)に対する心房スイッチ手術後の問題点として三尖弁閉鎖不全と右室機能不全はよく知られている。しかし、その治療方法には定まったものはない。ジャテン手術(J)への変換術はその対策の1つであるが、術後の経過や心機能についての報告は少ない。【目的】心房スイッチ術後にJを施行したTGAの術後心機能を明らかにすること。【対象、方法】当院で心房スイッチ術後にJを施行したTGA8人の中で5年以上の経過を見ることのできた4人(男3、女1)について後方視的に次の項目について検討した。原疾患、心房スイッチからJまでの期間、J時年齢、評価時のBNP,心エコーによるLVDd, LVSF, LV流入血流波形など、および術後カテ所見などについて検討した。【結果】原疾患はTGA1型1人、2型3人。症例4では僧帽弁の裂隙と腱索の中隔挿入を認めた。心房スイッチからJまでの期間は症例4で30年、それ以外は平均7年。J時年齢は症例4が32歳それ以外は平均7.5歳。Jへの変換理由は症例4では心房内の遺残短絡と左室流出路狭窄、その他は三尖弁逆流と右心不全であった。評価時の年齢は29-39歳(平均33歳)。評価結果を平均値で示すと、BNP34pg/ml, LVDd:5.6cm, LVSF:0.33, LVinflow E:133cm/s, E/A:4, E’:6.4cm/s, E/E‘:18、術後カテではLVEDVI:136ml/m2, LVEF58%, CI:3.1l/min/m2、LVEDP:12mmHg。大動脈弁閉鎖不全は全例1~2度であった。【考察】心房スイッチ術後にJへの変換術を施行した例の遠隔期の左室収縮性は正常範囲内に維持されていたが、左室拡大を認めLVEDPは正常よりやや高く、E/E‘も高値を示していた。【結論】心房スイッチ術後のJへの変換後遠隔期の左室収縮能は比較的良好に維持されていた。