[II-P-104] 当院における生後2か月未満の先天性心疾患術後声帯麻痺に関する検討
Keywords:声帯麻痺, 先天性心疾患, 術後合併症
【背景】先天性心疾患術後の声帯麻痺はよく知られ、嗄声、嚥下障害などを呈し、児のQOLに影響を与える重要な合併症である。【目的】生後2か月未満に心臓手術を受け、術後声帯麻痺を合併した児の臨床像を明らかにする。【対象および方法】2008年10月から2014年9月までの6年間に、生後2か月未満で先天性心疾患に対して当院で手術を受けた232例について、術後声帯麻痺の発生率や予後などについて後方視的に検討した。嗄声などを呈した症例に対して喉頭鏡検査を施行し、声帯麻痺の診断を行った。【結果】手術は232例に対し247件施行され、開心術112件(総肺静脈還流異常修復術29件、動脈スイッチ術25件、大動脈再建術16件、Norwood手術14件など)(重複あり)、非開心術135件(BT shunt術51件、動脈管結紮術48件、肺動脈絞扼術 34件、大動脈再建術16件)(重複あり)だった。術後声帯麻痺は12例(5.2%)に認め、その内訳は大動脈縮窄複合4例(一期的根治術2例、大動脈再建術2例)、大動脈弓離断複合3例(一期的根治術)、大血管転位+大動脈縮窄症2例(動脈スイッチ術+大動脈再建術)、総動脈幹遺残症2例(大動脈再建術+Rastelli手術)、純型肺動脈閉鎖症1例(右BT shunt術)であった。12例中10例は左側、2例は両側麻痺であった。症状は嗄声7例、嚥下障害7例、喘鳴3例(重複あり)で、嗄声に関しては全例改善を認めた。嚥下障害を呈した7例のうち、5例で経管栄養を要したが、3例は離脱できた。喘鳴を呈した4例のうち、2例は速やかに自然軽快したが、1例は長期間の非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)を、1例は気管切開を要した。なお、NIPPVを要した例は喉頭軟化症を合併していた。【考察】心血管術後の声帯麻痺発生率は1.9-6.9%との報告があり、今回の検討も同様であったが、手術以外の要因も考えられた。治療介入を要さない例から、自然軽快する例、症状が遷延する例まで様々であり、定期的な観察、症状に応じた管理が必要である。