第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-13 術後遠隔期・合併症・発達

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術後遠隔期(大動脈・大動脈弁)

2015年7月17日(金) 14:26 〜 14:56 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:秋田 利明 (金沢医科大学)

II-P-107~II-P-111

[II-P-107] 大動脈縮窄術後の年長児における高血圧の検討

山田 浩之, 宮田 功一, 中村 隆広, 福島 直哉, 横山 晶一郎, 大木 寛生, 三浦 大, 澁谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター)

キーワード:大動脈縮窄, coarctation, 高血圧

【背景】大動脈縮窄術後の成人では,縮窄部に再狭窄がなくても, 40~60%に全身性高血圧を認めるといわれている.高血圧は小児期から合併している可能性があるが,発症時期に関する報告は少ない.本研究の目的は大動脈縮窄術後の小児における高血圧の出現時期と危険因子を検討することである.【方法】当院で手術を行った大動脈縮窄の13歳以上の症例を対象に以下の項目について,診療録を用いて後方視的に検討した:年齢,性別,20歳までの右上下肢血圧,合併心疾患,基礎疾患,手術時期と方法,再狭窄に対するバルーン拡張術の有無,内服薬.高血圧は右上肢血圧が性別・年齢別の血圧基準値を2年連続で満たした場合と定義した.【結果】対象は24例(14-28歳,中央値16歳,男15例,女9例)で大動脈縮窄複合が16例,単純型大動脈縮窄が8例であった.手術時年齢は1歳未満が19例,1歳以上が5例,術式は鎖骨下動脈フラップ法が10例,直接吻合法が13例,その他1例であった.このうち,高血圧は4例(16.7%)に認め,その全例が13歳時にすでに高血圧を認めていた.4例とも血圧の上下肢差はなく(20 mmHg未満),再狭窄も認めなかった.降圧薬は2例に投与され(エナラプリル1例,アテノロール1例),初回に高血圧を認めてからそれぞれ5年後と6年後に開始されていた.高血圧症例と合併心疾患,再狭窄の有無,手術時期・方法等との関連は見られなかった.【考察】大動脈縮窄術後の年長児の16.7%に高血圧を認めたが,危険因子については明らかでなかった.小児期の高血圧は長期予後に影響を与える可能性があり,降圧薬の適応と開始時期について,今後検討する必要がある.