第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-14 成人先天性心疾患

ポスター
成人先天性心疾患:フォンタン手術

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:上野 倫彦 (日鋼記念病院)

II-P-112~II-P-116

[II-P-115] Choussatの推奨基準から外れた機能的単心室成人例の検討

稲熊 洸太郎1, 坂崎 尚徳1, 松岡 道生1, 石原 温子1, 鷄内 伸二1, 村山 友梨2, 川崎 有亮2, 植野 剛2, 吉澤 康祐2, 石道 基典2, 藤原 慶一2 (1.兵庫県立尼崎病院 小児循環器内科, 2.兵庫県立尼崎病院 心臓血管外科)

キーワード:adulthood, cavopulmonary connection, functional single ventricle

【背景】Fontan型手術(F術)に至らずに成人期を迎えた機能的単心室(FSV)への治療介入の選択は難しい。今回、治療介入を検討するために行った心臓カテーテル検査(Cath)で、Choussatの肺血管に関するF術推奨基準を外れたFSV成人例の臨床経過について報告する。【方法】当院で成人期に行ったCathで、mPAP>15mmHg、またはRp>4単位・m2であったFSV患者8例(男3例)を対象とし、臨床症状、検査所見、治療経過を調べた。【結果】診断はSRV4例、DILV1例、SLV1例、TGA/MA1例、TA1例。Cathの適応は、チアノーゼの進行5例、LVOTO進行1例、心不全1例、喀血1例であった。Cath所見はmPAP 21±3.8mmHg、Rp 3.1±1.1単位・m2であった。肺生検を4例に行い、2例はF術適応なしと診断され、手術介入せず。手術介入例6例のうち、Glenn手術(G術)先行が4例、うち2例は順行性肺血流を残しF術に到達した。一期的F術例は2例、一例はcTGA+PA症例で、JR、PSVTと心機能障害に対してablationとCRT植込みを行い、肺生検結果を根拠とした。もう一例は抗リン脂質抗体陽性のSRV+PA症例Aで、Nonconfluent PAに対する肺動脈形成とPTA後も重度チアノーゼが進行し、肺生検で肺小動脈内血栓を認めるたが、F術可能と判断された。2例をG術後に低酸素血症で、症例AをF術後に多臓器不全で失った。手術介入をしなかった2例はNYHA2度で変わりなし。F術耐術3例の術後観察期間は4.2±0.9年、NYHA1度が2例、2度が1例で、術前より改善した。【考察】G術後死亡例はDKSを要するDILV例とSRV+PA例で、順行性肺血流がなく術後に著明な低酸素血症に陥った。肺生検結果次第では一期的F術が可能であったかもしれない。症例Aは、F術後の循環は保たれていたが、抗リン脂質抗体陽性に関連した血栓症が予後に影響したと考えられる。【結論】Choussatの推奨基準外の症例で、G術後に順行性肺血流を残せない場合、肺生検結果を根拠に一期的F術を検討した方が良いと考えられる。