[II-P-116] フォンタン術後遠隔期における血行動態評価:心臓MRIおよび脳性ナトリウム利尿ペプチドの関連性
キーワード:フォンタン手術, 脳性ナトリウム利尿ペプチド, 心臓MRI
【背景】フォンタン手術は、単心室形態をもつ先天性心疾患症例の生命予後を大きく改善させた。いくつかの報告では、フォンタン術後遠隔期の心機能障害時に血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値が上昇するとされている。しかし、BNP値上昇のメカニズムは解明されていない。本研究の目的は、フォンタン術後遠隔期の症例に対して心臓MRI検査を施行し、得られる心機能パラメータとBNP値の関連性を明らかにすることである。【方法】フォンタン術後症例10例(平均年齢18.0歳、男性7例)に対して心臓MRI検査、BNP値測定を施行した。【結果】BNP値の平均は14.7 pg/mL(< 0.2 - 418.4 pg/mL)であった。主心室の拡張末期容積(EDVI)は81.7 ± 21.3 mL/m2、収縮末期容積(ESVI)36.2 ± 12.4 mL/m2、駆出率(EF)は 56.4 ± 6.9%、上行大動脈径(AOD)は25.5 ± 4.7 mm、大動脈弁逆流分画(ARF)は11.7 ± 12.7%であった。8症例がNYHA分類I度、2症例がNYHA分類II度であった。BNP値はAOD (r = 0.685; p = 0.014)、ARF (r = 0.697; p = 0.013)、 NYHA分類(r = 0.609; p = 0.031)と正の相関関係を認めた。【結論】フォンタン術後遠隔期におけるBNP値の上昇は、大動脈径の拡張および大動脈弁閉鎖不全と関連性がある可能性が示唆された。フォンタン術後の予後を考える上で、大動脈径と大動脈弁閉鎖不全にも注意すべきである。