[II-P-117] 肺移植登録した重症肺高血圧症を伴う心室中隔欠損症例に対し肺血管拡張薬投与後に心内修復術を施行した2例
Keywords:心室中隔欠損症, 肺高血圧症, 成人先天性心疾患
【背景】近年の肺高血圧治療薬の治療戦略により従来重症肺高血圧で手術困難な症例でも手術可能となる症例が散見される。今回肺移植登録された心室中隔欠損症例で肺血管拡張薬投与後に心内修復術を施行した2例を経験したので報告する。【症例1】51歳女性,心室中隔欠損症,動脈管開存症。出生時に心室中隔欠損症指摘され3歳時肺動脈絞扼術を施行されその後医療機関受診なく経過49歳時に肺高血圧を指摘され初回検査ではPAP115/45(68)mmHg,PVR10.9WU,Qp/Qs1.72と高度肺高血圧を認めた。HOT導入,シルデナフィル(60mg3×),アンブリセンタン(5mg1×)を投与し3ヶ月後にはPVR6.7WUに低下しQp/Qs2.36に上昇したが未だ肺動脈圧高値でありエポプロステノールナトリウム(29ng/kg/min)の導入を図ったが6ヶ月後にはPVR9.3WUに上昇し肺移植登録となった。18ヶ月後にはPVR5.1WUまで改善しVSDclosure with a one-way valved patchを施行した。術後はPAP50/28(35)mmHg, PVR3.8WUと残存する肺高血圧に対してエポプロステノールナトリウムを継続している。【症例2】22歳男性,心室中隔欠損症。5歳時に心室中隔欠損症,肺高血圧を指摘された。6歳時にQp/Qs0.95,RLshunt 21%であり手術不可能と判断された。21歳時にベラプロストナトリウム(360μg3×),アンブリセンタン(10mg×1),シルデナフィル(10mg×2)導入し,酸素負荷にてQp/Qs1.3,PVR7.65WUであり肺移植登録された。22歳時に酸素負荷でQp/Qs1.85,PVR1.71WUまで改善しVSD patch closureを施行した。術後はPAP92/50(64)mmHg,PVR6.37WUと残存する肺高血圧症に対してエポプロステノールナトリウムを継続している。【まとめ】集学的肺高血圧治療薬の投与により手術不可能の症例でも手術が可能となった症例を経験した。これらのようにtreat and repairが奏功した例が散見されるため肺移植の適応は慎重にすべきであり,今後はmultidisciplinary team approachが重要になってくると考えられる。