第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター
肺高血圧 基礎

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:西山 光則 (恵愛病院)

II-P-122~II-P-126

[II-P-122] 肺高血圧症治療薬の心室筋Ca2+電流に及ぼす影響

勝部 康弘, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 赤尾 見春, 渡邉 誠, 阿部 正徳, 渡邉 美紀, 池上 英, 上砂 光裕, 深澤 隆治, 小川 俊一 (日本医科大学 小児科)

キーワード:肺動脈性肺高血圧, Ca電流, 心機能

【背景】肺動脈性肺高血圧症は肺血管抵抗の上昇により右心肥大さらには右心不全から死に至る疾患である。薬物治療の基本的戦略としてエンドセリン、一酸化窒素ならびにプロスタサイクリンの3つの経路を介する血管拡張薬が用いられている。これら薬剤は特発性肺高血圧症に対する治療だけではなく先天性心疾患に伴う肺高血圧症の治療薬としても用いられている。これら薬剤の心臓への影響は十分に検討されているとは言えない。【目的】肺血管性肺高血圧症治療薬の心筋への影響を調べる。【方法】各経路を代表する薬剤(ボセンタン、シルデナフィル、ベラプロスト)のラット心室筋細胞Ca2+電流をパッチクランプ法により測定する。【結果】ボセンタンはエンドセリンによるCa2+電流抑制をブロックした。ボセンタン単独ではCa2+電流への影響は見られなかった。同様に、ベラプロストによるCa2+電流への影響は見られなかった。一方、シルデナフィルはCa2+電流を抑制し、さらにイソプロテレノールで増加したCa2+電流をも抑制した。【考察】実験で使用したシルデナフィルの濃度は30μMで、薬剤の影響を強調するために臨床で使用する濃度(数~数十nM)より著しく高濃度を用いて実験を行った。発表までに以下の追加実験を行いたい。1.臨床で用いる濃度を用いて各薬剤のCa2+電流への影響を検討する。2.一酸化窒素非依存性にcGMP濃度を上昇させるリオシグアトのCa2+電流への影響も検討する。また、3.心筋保護作用を示すATP感受性K+電流への効果についても検討を加えたい。【結論】肺動脈性肺高血圧症の作用機序別に3つの基本的治療薬のうち高濃度のシルデナフィルは心室筋Ca2+電流を抑制する可能性があることが示唆された。