第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

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肺高血圧 基礎

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:西山 光則 (恵愛病院)

II-P-122~II-P-126

[II-P-123] 異なる病態(肺高血圧・肺動脈狭窄)を呈する右心室後負荷モデルラットにおける右室心筋線維化の検討

河内 貞貴1, 浦島 崇1, 糸久 美紀1, 伊藤 怜司1, 飯島 正紀1, 藤本 義隆1, 馬場 俊輔1, 藤原 優子1, 小川 潔2 (1.東京慈恵会医科大学 小児科学講座, 2.埼玉県立小児医療センター 循環器科)

Keywords:肺高血圧, 右心不全, 心筋線維化

【背景】先天性心疾患では、右心室への後負荷から右心不全を呈し、予後に大きく関与することがある。後負荷の原因として、右室流出路狭窄や肺動脈狭窄に代表される出口狭窄と、肺動脈性肺高血圧症である肺血管抵抗の上昇がある。これらは右室圧上昇をきたし、右室心筋の線維化を引き起こすことで右心室不全へと進行するが、病態としては異なるものである。【目的】右室後負荷の病態により、右心室心筋線維化の違いを明らかにする。【方法】生後8~10週、体重200gのSprague-Dawley ratに、モノクロタリンを腹腔内投与(60mg/kg)した肺高血圧ラット群(PH群)と肺動脈絞扼術を施行した肺動脈狭窄ラット群(PAB群)とで、モデル作成4週後に心臓重量(WH)、右心室重量(RV)、体重(BW)、肝臓重量(Liver)を計測、Liver/BW ratio、RV/WH ratioを比較した。組織学的検討として右心室心筋をMasson染色し青色に染色された線維化領域を、内膜側、外膜側、その中間層で比較した。【結果】Liver/BW ratioに有意差は認められなかった。RV/WH ratioはPH群で有意に大きかった(P<0.05)。右心室心筋の組織像では両群ともに強く線維化していたが、内膜側・外膜側での違いは認められなかった。中間層では統計学的有意差は認められなかったが、PH群でより強く線維化が進行していた。【考察】PH群では、PAB群と比べ心エコー上左心室が小さく、RV/WH ratioの結果から右心室のしめる割合が大きくなったと考えられた。つまり、PH群ではPAB群に比べ心拍出量が低下しており、これにより冠血流の減少をきたしたことも影響し、右室心筋の線維化が中間層でも強く出現したと推測した。【結語】右心室に対する病態の異なる2種類の後負荷モデルラットから、PHによる後負荷は、心拍出量を減少させることでより強く心筋の線維化を引き起こす可能性があると考えられた。