[II-P-127] 高肺血流先天性心疾患のカテーテル治療前後での呼気NO濃度の検討
キーワード:カテーテル治療, NO, NIOX
【目的】高肺血流の先天性心疾患では肺動脈は拡張している。この拡張にeNOSが関与していることが推測されているが、血液中のeNOSを測定することは容易ではない。近年気管支喘息の気道炎症評価のツールとして簡便に呼気NO濃度を測定する機器「NIOX」が市販されたため、これを用いて高肺血流性心疾患のカテーテル治療前後での呼気NO濃度を測定した。【方法】当科でカテーテル治療を行った心房中隔欠損・動脈管開存患者のうち、5歳以上で本人ないし家族の協力が得られた9名を対象とした。細い動脈管のコイル塞栓患者と気道のアレルギー性疾患・喫煙の習慣を有する患者は除外した。カテーテル治療の前日と治療4-5日後にNIOXを使用して呼気NO濃度を測定した。【結果】対象患者のQp/Qsは1.79±0.48、QpIは6.66±2.74、平均肺動脈圧は15.1±4.7mmHg、Rpは1.16±0.20U・m2であった。治療前の呼気NO濃度は12.5±3.4ppb、治療後は9.2±3.4ppbととなり、治療前後で有意な低下(p<0.05)が認められた。治療前の呼気NO濃度は治療前の肺動脈収縮期圧・平均肺動脈圧・QpI・CI・Rp/Rsと負の相関を示したが、Qp/Qs・PAI・ANP・BNPとの相関は認められなかった。また治療後の呼気NO濃度は肺動脈収縮期圧・肺動脈平均圧・LVEDP・Rp/Rsと負の相関を認めた。【結論】高肺血流を伴う先天性心疾患患者にカテーテル治療を行うことで呼気NO濃度は正常の範囲内で有意に低下し、治療前の濃度は肺動脈・肺血流・心係数と相関する。治療前後とも、呼気NO濃度が高い症例ではむしろ肺動脈圧は低く、この結果QpIに関わらずRp 1.0U・m2前後に維持されていた。