[II-P-141] 当院小児救急医療センター救急外来を受診した急性冠症候群の3例
キーワード:川崎病, 急性冠症候群, 冠動脈瘤
【背景】小児の急性冠症候群(ACS)は発症頻度が低く、その臨床像は明らかでない。【目的】ACS発症のリスクを分析/検討し明らかにする事。【対象/方法】対象は2011年2月~2015年1月の期間に当院救急外来を受診し、ACS診断に至った3例で、診療録を用い後方視的に検討した。[症例1]1歳7ヶ月 男児 不全型川崎病/両側冠動脈瘤/ACS:他院にて入院歴あり。無熱性けいれんにて前医入院。傾眠/頻脈が続き、急性心不全/急性心筋梗塞の診断にて救急外来に紹介。心電図にてV2-V5 ST上昇。左室内径短縮率(LVFS)の著明な低下あり。血栓溶解療法/ICU入室/補助循環導入。神経学的後遺障害なく退院。[症例2]14歳2ヶ月 男児 心室中隔欠損/ACS:最近、運動時に胸痛あり。胸痛にて救急外来に救急搬送。心電図ではV3-V5にST上昇。LVFSの低下。異常Q波/ST変化あり、ACSにて転院。緊急PCI施行。[症例3]12歳9ヶ月 女児 川崎病性両側巨大冠動脈瘤/ACS:初めての胸痛あり。救急外来受診、PT-INR 1.36/心電図でV3-V4にST上昇。LVFSは低下、ACSにて転院。緊急PCI施行、冠動脈バイパス術施行。【結果/予後】[症例1]:慢性心不全/神経学的後遺障害(-)[症例2]:緊急PCI施行。心房中隔欠損/心室中隔欠損閉鎖術施行。[症例3]:緊急PCI施行。冠動脈バイパス術施行。【考察】症例1:ACS発症後に不全型川崎病の診断に至った。ACS発症原因として川崎病も念頭に置くべきと考えられた。症例2:卵円孔自然閉鎖後と判断されていた。ACS発症原因として奇異性塞栓を除外すべきではないと考えられた。症例3:運動時胸痛(-)/心筋シンチにて虚血所見(-)。しかし、ACS発症のハイリスク症例であり、緊急PCI可能な医療機関とのACS発症前の医療連携が重要であると考えられた。