[II-P-142] 川崎病におけるずり応力惹起血小板凝集能測定の臨床的意義
キーワード:川崎病, 抗血小板療法, 薬効評価
【背景】これまで我々は、川崎病冠動脈後遺症例に対する抗血小板療法の薬効モニタリングとして血小板凝集能を測定し、その重要性を報告してきた。血小板凝集能の評価には、最も汎用されているアゴニスト刺激による通常の凝集能測定と、アゴニスト非存在下におけるずり応力刺激のみによる測定法がある。血小板の活性化経路は数多く報告されており、両者は異なる経路を刺激することが知られている。今回、我々は川崎病症例におけるずり応力惹起血小板凝集能(shear stress-induced platelet aggregation: SIPA)の臨床的意義について報告する。【方法】対象は2010年~2014年に当科を受診した川崎病症例124例(採血回数270回)とし、SIPAおよびコラーゲン刺激による血小板凝集能(全血、多血小板血漿)を測定した。全血および多血小板血漿による血小板凝集能の評価は、5段階のクラス判定(-2, -1, ±0, +1, +2)により行った。【結果】全血および多血小板血漿による血小板凝集能評価はともに、SIPAとの相関は示さなかった。川崎病急性期においてSIPAが亢進している症例では、病勢の鎮静化に伴いSIPAも低下した。ただし、急性期に全例でSIPAが亢進するわけではなかった。【結語】SIPAは通常の血小板凝集能測定とは異なる血小板活性化を反映しており、抗血小板療法の評価は多方面から検証して総合的に判断する必要があると考える。また、急性期の血管炎病勢を反映している可能性が示唆され、SIPAによる血小板機能のモニタリングの臨床的意義が示された。