[II-P-146] 当院で急性期治療を施行した川崎病再発20例の臨床的検討
Keywords:川崎病, 再発, 冠動脈障害
【背景】川崎病全国調査で再発例は約3.5%であるが、初発時に比べて重症化するとの報告もある。当院では9年間に20例の川崎病再発例を経験したので報告する。【方法】対象はH18年1月～H26年12月に当院で川崎病初回及び再発時の急性期治療を施行した20例。診療録を用いて性別、月齢、入院病日、IVIG投与病日、有熱日数、検査値(入院時の白血球数、ヘモグロビン(Hb)、AST、ALT、LDH、T-Bil、Na、CRP及びIVIG投与後のCRP)について後方視的に検討した。【結果】性別は男11例、女9例で、川崎病患者総数501人中、再発例が4.0%であった。罹患月齢は初回が15.6±20.8ヵ月、再発が37.8±10.6ヵ月、再発までの期間は22±20.8ヵ月であった。入院病日は初回が3.8±0.9日、再発が3.6±1.1日であり、全例に対して初回、再発ともに第5病日以後にIVIG2g/kgを施行した。IVIG投与開始病日は初回が5.3±0.4病日、再発が5.2±0.5病日で、投与開始時の群馬スコアは初回が2.6±2.0、再発が3.5±2.7と再発時が高いが有意差は認めなかった。有熱日数は初回が6.3±2.5病日、再発が7.1±1.4病日と有意差を認めなかったが、IVIG投与後解熱までの日数は初回が0.9±2.6日、再発が2.1±1.5日で再発時が有意に長かった(p=0.046)。IVIG再投与を必要とした症例は初回が4例(20%)、再発が2例(10%)であった。冠動脈病変は初回は全例異常を認めなかったが、再発は一過性拡大を1例(5%)に認めた。検査値は、投与前のCRPは初回が9.76±5.23mg/dl、再発が11.69±8.86mg/dlと有意差がなかったものの、投与後のCRPは初回が3.85±3.36mg/dl、再発が8.83 ±9.95mg/dlと再発時が有意に高値であった（p=0.01）。Hbも初回が10.5±1.5g/dl、再発が11.2±0.8g/dlと再発時が有意に高値であった(p=0.018)。【結論】川崎病再発時はCRPが高い傾向があり、IVIG投与後もCRPの低下や解熱までに時間を要するが、後遺症としての冠動脈障害は認めなかった。