第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管⑤

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:26 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:佐野 哲也 (さのこどもクリニック)

II-P-142~II-P-147

[II-P-147] 青森県における川崎病の実態調査

嶋田 淳1, 三浦 文武1, 大谷 勝記1, 高橋 徹1, 米坂 勧2, 北川 陽介1, 山本 洋平1 (1.弘前大学医学部 小児科, 2.弘前大学医学部 保健学科)

Keywords:川崎病, 血漿交換, 実態調査

【背景】当科では県内の川崎病診療の実態をより詳しく把握する目的で、2005年以降アンケートによる集計と研究会での検討を行っている。【目的】県内の川崎病治療の傾向と効果を検討する。【方法】2005年~2013年発症例について青森県内の川崎病診療施設にアンケートを送付し回収。【結果】症例は973例(男532例、女437例、不明15例)で年々増加傾向で2013年が141例で最多。定型例821例(84.4%)、不定型例 37例(3.8%)、不全型126例(12.9%)。急性期治療は1st lineは大量免疫グロブリン療法(IVIG)、2nd line以降もIVIG追加が中心で、RAISE study報告後は1st lineからのステロイド治療が増加。2012年から重症例に対して当科で血漿交換(PE)を開始。IVIGは855例(87.9%)、投与量は2g/kg/日が650例(76%)を占め、開始病日は第5病日が352例(41.2%)と最多。IVIG不応例は111例(13%)で78例に追加治療が行われていた(IVIG48例、IVIG+ウリナスタチン11例、ウリナスタチン4例、IVIG+ステロイド19例、ステロイド5例、PE4例)。心障害は2005年と2010年にそれぞれ急性期31%・30%、後遺症12%・7%と高率に認めたが、それ以外は急性心障害が約15%・後遺症が約2~4%で推移。2013年はIVIG不応例の増加(24.6%)とともに後遺症が5.7%と増加。全経過で巨大瘤は2例で、治療開始遅延例とIVIG・ステロイド不応例であった。PE4例は、いずれもPE開始時に冠動脈病変を合併していたが、1年後の後遺症は1例のみ(不定型例にネフローゼ症候群を合併したまれな症例)。【考察】青森県の川崎病症例は全国調査と概ね同様の傾向であったが、2013年はIVIG不応例の増加とともに後遺症が多かった。症例は少ないがIVIG不応予測例への初期ステロイド併用では後遺症は認めず、有効性が示唆された。PEを施行した4例とあわせて報告する。毎年県内の川崎病調査を行っているが全国調査に比べ、詳細な患者の経過を追跡することができ、今後も継続していく予定である。