ポスター
川崎病・冠動脈・血管⑥

[II-P-148] 川崎病心血管病変におけるテネイシンC発現

^○横内 幸¹, 大原関 利章¹, 榎本 泰典¹, 今中 （吉田） 恭子², 高橋 啓¹ (1.東邦大学医療センター大橋病院　病理診断科,　2.三重大学大学院医学系研究科　修復再生病理学)

Keywords:川崎病, 冠状動脈, テネイシンC

【背景】テネイシンC（TN-C）は、炎症やそれに続く組織リモデリングに関与する細胞外マトリクスであり、心血管系においては心筋梗塞、心筋炎、拡張型心筋症、動脈硬化症などで発現するとされる。今回、川崎病の心冠状動脈病変におけるTN-Cの発現を検討した。【対象】25川崎病剖検例（年齢：3か月～20歳、性別：男18例、女7例、病日：6日～17年）。【方法】心筋および冠状動脈病変の組織像とTN-C発現、局在および発現強度について、病日に沿った経時的検討を行った。【結果】1）心筋炎は33病日例まで観察されたが、それ以降の症例では心筋炎や心筋炎後線維化は認められなかった。一方、30病日以降症例の多くで新旧の心筋梗塞を伴っていた。TN-Cは炎症細胞浸潤や梗塞が存在する領域に一致して発現し、その強度は炎症細胞浸潤の程度と相関した。2）冠状動脈も心筋炎と同様、急性期には炎症細胞浸潤部に一致したTN-C発現を認めた。これに加え、炎症細胞が消褪し始める27病日以降も肥厚内膜、中膜のTN-C発現は継続する傾向にあったが、外膜～周囲結合組織では炎症細胞浸潤を伴うにもかかわらず、TN-C発現が減弱した。8ヶ月以降例では多くの血管炎瘢痕部では発現がなかったが、肥厚内膜深部の新生血管や再疎通血管周囲に発現をみた。【結語】川崎病においても、炎症がある部分に一致したTN-C発現がみられ、急性炎症やリモデリングのバイオマーカーとなりうる可能性がある。これまで報告された他疾患におけるTN-C発現についての考察を加え報告したい。