[II-P-149] 川崎病におけるpentraxin-3の臨床的意義の検討
キーワード:川崎病, ペントラキシン3, 血管炎
背景:ペントラキシン-3(PTX3)は血管炎マーカーとして近年、成人領域では用いられているが、川崎病血管炎での評価はまだ少数例しかなく、十分なデータが得られていない。目的:川崎病症例でのPTX-3血中濃度の評価による大量ガンマグロブリン療法の不応例および川崎病冠動脈合併症の検出が可能であるかを検討する。対象と方法:対象は2013年から2014年までの2年間に当院で川崎病と診断・治療された65症例(男:女=37:28、年齢37±26ヶ月)に関して、PTX3値(ガンマグロブリン投与前、投与後、1ヶ月後)につき後方視的に検討した。冠動脈拡張は5歳以下3mm以上、5歳以上3.5mm以上とした。発熱疾患コントロールは60例。結果:診断時に解熱もしくは症状の軽快傾向を示しておりアスピリン内服のみが施行された症例は5例、他60例は初期治療としてガンマグロブリン大量療法(2g/kg)およびアスピリンもしくはフルルビプロフェン内服が行われていた。PTX3値は川崎病症例で発熱コントロールより有意に高値であった(29.8±27.5 vs 13.7±10.8ng/ml, p<0.001)。ガンマグロブリン投与前、投与後、1ヵ月後で有効例と不応例間では有意差を認めなかった(28.1±27.0 vs 29.6±23.4ng/ml、14.2±8.1 vs 15.8±13.5ng/ml、6.5±2.2 vs 6.4±3.1ng/ml)。冠動脈合併症は2例でガンマグロブリン不応例であった(ガンマグロブリン投与前PTX3値:19.02、56.4)。冠動脈合併症の検出に有効かは症例数が少なく検討できなかった。結論: 川崎病では小児の発熱疾患よりPTX3値は高値を示しており血管炎を反映していると思われた。ガンマグロブリン有効例、不応例にかかわらず炎症の沈静化に伴いPTX3値は低下した。今後、冠動脈合併症の検出に有効か検討が必要と思われる。