第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管⑥

Fri. Jul 17, 2015 2:26 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:勝部 康弘 (日本医科大学武蔵小杉病院)

II-P-148~II-P-152

[II-P-151] 川崎病急性期における血管内皮細胞由来の血管微小粒子(EMPs)の役割

仲岡 英幸, 伊吹 圭二郎, 小澤 綾佳, 廣野 恵一, 足立 雄一, 市田 蕗子 (富山大学医学部 小児科学教室)

Keywords:川崎病急性期, 冠動脈瘤, endothelial microparticles

【背景】川崎病は全身の血管炎であり、特に冠動脈の血管内皮障害をきたし、冠動脈瘤を形成し、心筋梗塞や瘤破裂など引き起こす重症例もある。近年、血管内皮細胞の障害により血管内皮細胞表面から遊離される血管微量粒子(Endothelial microparticles(以下EMPs))が細胞細胞間でmicroRNAなどを運搬する重要な役割があると言われている。現在、川崎病血管炎のバイオマーカーとして炎症サイトカイン、ケモカイン、接着分子などの報告はあるが、初回治療前に冠動脈瘤形成を予測するバイオマーカーの報告はない。今回、我々は、川崎病の病態が全身の血管炎であることから、血管内皮細胞障害で遊離されるEMPsに着目し、EMPsが情報伝達の役割を担い、川崎病急性期における血管炎および血管内皮細胞障害に重要な役割を果たしているのでないかと考えた。【方法】当院及び当院関連施設での川崎病24例、対照群 (有熱者8例及び健常人8例)の計40例を検討対象とした。川崎病患者のIVIG治療前、治療後、回復期の血清を用いてフローサイトメトリにてEMPsを測定し対照群と比較検討した。さらに、EMPsと治療後の冠動脈径において回帰分析を施行し、相関の有無を検討した。【結果】川崎病急性期におけるEMPsの95%信頼区間は2.01±1.00%であり、有熱者(0.11±0.09%)及び健常人(0.08±0.09%)に対して有意に上昇を認めた(p<0.001)。さらに、川崎病患者治療後の冠動脈径とEMPsにおいては非常に強い正の相関(R=0.618,p=0.001)が認められた。【結語】血管内皮障害で遊離されるEMPsの測定により、川崎病患者の冠動脈瘤形成傾向のある症例を予測することができ、川崎病における血管炎に対する新たな治療戦略に繋がると考えている。