第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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2-02 体外循環・心筋保護

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術中管理

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:寺田 正次 (東京都立小児総合医療センター)

II-P-153~II-P-157

[II-P-157] FFPクリオプレシピテート導入による小児心臓外科手術の低侵襲化への試み

片山 雄三1, 小澤 司1, 塩野 則次1, 渡邉 善則1, 直井 和之2, 池原 聡2, 高月 晋一2, 中山 智孝2, 松裏 裕行2, 佐地 勉2, 与田 仁志3 (1.東邦大学医療センター大森病院外科学分野 心臓血管外科, 2.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 3.東邦大学医療センター大森病院 新生児科)

キーワード:外科手術, 体外循環, 輸血療法

【背景】平成17年に厚生労働省研究としてFFPクリオプレシピテート(以下クリオ)を使用する輸血戦略研究が行われ、現在では大学病院を中心に各施設で導入が進んでいる。小児心臓外科手術は希釈性凝固障害をきたしやすく、FFPの大量投与は容易にvolume overloadとなり得るため、クリオ導入による恩恵が大きいものと予想される。当施設では、クリオ抽出後の残滓FFPである乏クリオも人工心肺回路充填や人工心肺離脱直後のボリューム管理で積極的に活用することで、輸血量の軽減を試みている。【目的】小児心臓外科手術におけるクリオ・乏クリオを併用した輸血療法の妥当性を検討すること。【方法】クリオ導入前後3ヶ月の期間である2014年8月~2015年1月に施行した小児心臓外科手術のうち、成人先天性を除く人工心肺使用症例は25例。無輸血症例を除いた19例のうち、術前から輸血使用が決定していた15例を対象とした。クリオはFFP2単位から20mlを作成し、人工心肺離脱後、体重毎の使用量を緩徐に静注投与した。クリオ使用群6例と非使用群9例の臨床データを比較検討した。【結果】クリオ作成前のFFP・クリオ・乏クリオのフィブリノーゲン血中濃度は、260±38mg/dl・922±380mg/dl・165±15mg/dlであった。体重・redo・手術時間・人工心肺時間などに差はないものの、クリオを含めた術中総FFP使用量(3.6±1.9vs 5.0±1.9単位)・人工心肺離脱後から終刀までの時間(67±25 vs 151±93分)は、クリオ使用群で有意に少なかった(p<0.05)。ICU入室時のフィブリノーゲン値に有意差は認めなかった。【考察・結語】短時間に凝固因子補充が可能なクリオを使用することにより、FFP使用量が減少し、止血に要する時間が短縮された。クリオ・乏クリオを併用した輸血療法は、小児心臓外科手術の低侵襲化に寄与しうる。