第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

ポスター
乳び胸・胸郭変形

Fri. Jul 17, 2015 2:20 PM - 2:50 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:加賀 重亜喜 (山梨大学)

II-P-158~II-P-162

[II-P-161] 先天性心疾患術後に合併する乳び胸に対するOctreotide持続投与時のモニタリングの必要性

尾崎 晋一, 平田 康隆, Panthee Nirmal, 有馬 大輔, 益澤 明広, 高岡 哲弘, 小野 稔 (東京大学医学部 心臓外科)

Keywords:Octreotide, bradycardia, chylothorax

先天性心疾患術後の乳び胸に対する治療として、絶食や中鎖脂肪酸ミルク、ステロイドなどと共にOctreotide持続投与が行われることがある。Octreotideはソマトスタチンアナログで、半減期は約100分である。乳び胸に対するOctreotide投与は比較的安全で有効であるとの報告は数多くなされているが洞機能抑制作用があり、成人では徐脈の報告がある。今回当院で2013年4月~2015年1月までの先天性心疾患術後の乳び胸に対してOctreotideを使用した11人、16例について投与前後の脈拍について検討を行った。投与時の平均年齢は1歳5か月(月齢1-年齢3)で、平均体重は7.3(2.7-9.8)kgであった。またOctreotideの平均開始投与量は1.5±0.9µg/kg/hで、平均投与期間は20(5-64)日であった。投与前の脈拍数(1日の内7/12/18時の3点の平均脈拍数)に対する投与後1-5日の脈拍数の変化率を算出した。その結果、変化率は投与後1日-5.8±12.9%(p=0.1)、2日-8.7±10.7%(p=0.009)、3日-7.2±11.4%(p=0.02)、4日-9.4±11.2%(p=0.002)、5日-8.1±9.9%(p=0.02)であった。今回の検討では、開始投与量や累積投与量と、脈拍変化率との間に相関関係は認められなかったが、投与後の脈拍数は投与前と比較し低下することが示唆された。また検討症例の内、2患児(1児はEbstein奇形、右室型単心室でFontan術後、1児は左心低形成症候群でNorwood術後)で投与後60-70/minのjunctional rhythmを1時間のうちに複数回を認め持続するため、Octreotide投与を中止したところ両症例とも中止後2日前後で徐々に改善し始め中止後5-7日で完全に認めなくなった。乳び胸は経過が長くなることがあり、急性期後は一般床で治療を継続されることが多い。今回の検討からOctreotide投与中は集中治療を離脱した後も心拍数・心電図を持続的にモニタリングすることが必要であることが示唆された。