[II-P-162] 末梢性肺動脈狭窄に対するePTFE graft使用の検討
キーワード:肺動脈狭窄, graft, ファロー四徴症
【背景】末梢性肺動脈狭窄に対しては、自己心膜・ePTFEpatch/graftなどを用いて肺動脈拡大を行う場合が多い。当院では末梢肺動脈狭窄の強い症例に対しては、ePTFE graftを切り開き、紡錘状のpatchを形成し末梢肺動脈の拡大に用いている。【目的】末梢性肺動脈狭窄に対しePTFE graftを用いて肺動脈拡大を施行した症例について検討した。【方法】2010年4月~2014年12月にePTFE graftを用いて末梢性肺動脈狭窄解除を施行した36例を対象とした。Fontan適応症例・肺動脈絞扼術後の肺動脈形成症例については除外した。疾患は、ファロー四徴症 18例、DORV 2例、PA/VSD 12例、VSD 2例、Williams症候群 1例、Noonan症候群 1例。手術時年齢2.9か月~16.5歳(中央値1.1歳)。手術時体重3.3~64.3kg(中央値8.1kg)。肺動脈上葉枝分岐の末梢側まで切開を要した症例をA群12例、必要としなかった症例をB群24例として検討した。【結果】手術死亡なし。肺動脈拡大に用いた人工血管サイズは、6mm径 13例(36.1%)、7mm径 3例(8.3%)、8mm径 20例(55.6%)。術後再狭窄を認めカテーテル治療を要した症例は、A群8例(66.7%)、B群13例(54.1%)であり、有意差を認めなかった。カテーテル治療により全例有効な拡張が得られ、再度の肺動脈狭窄解除術を要した症例は認めなかった。【考察】末梢性肺動脈狭窄に対してePTFE graftをトリミングして使用する方法は上葉枝分岐までの切開を必要とした症例に対しても、再手術を回避することができ、有効な方法であると考えられた。