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治療戦略

[II-P-164] 気道閉塞所見を伴う乳児症例に対する肺動脈前方転位術の経験

^○宮原 義典¹, 前川 慶之¹, 河田 政明¹, 南 孝臣², 片岡 功一², 佐藤 智幸², 岡 健介² (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター　小児・先天性心臓血管外科,　2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター　小児科)

キーワード：Lecompte法, 気道閉塞, 肺動脈拡大

肺動脈を大動脈前方に転位するLecompte法は大血管転位症の標準的手技として広く行われているが，正常大血管関係の症例に行う事は稀である．我々は肺動脈拡大により気道閉塞症状を呈する症例に対し，肺動脈前方転位術をrescue surgeryとして応用し，良好な結果を得た．【症例】症例1：TOF with Absent PAV (2ヶ月女児,3.9kg)．症例2： Large VSD（3ヶ月男児，4.0kg）．2症例ともに著明に拡大した肺動脈により主気管支が圧迫され，気道閉塞症状を認め，準緊急的に開心術を施行した． 【結果】両者とも心内修復施行と同時に肺動脈前方転位術を施行した．大動脈離断は行わず，右肺動脈を主肺動脈分岐部で離断して上行大動脈の前方に転位させ，後壁は直接吻合，前壁をパッチ補填にて再建した．症例1は術4日目，症例2は術2日目に呼吸器を離脱し，術後経過は良好であった．術前後CT検査で気道狭窄は著明に改善した． 【結論】肺動脈前方転位術は気道閉塞を解除し，患児の術後QOLを改善する有効な手技であった．