第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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2-01 外科治療

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左室流出路狭窄①

2015年7月17日(金) 14:14 〜 14:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター心臓病センター)

II-P-167~II-P-172

[II-P-169] 右側大動脈弓を伴う大動脈離断症に対するPulmonary Autograft Tube(PAT)を用いた大動脈弓再建

加藤 伸康, 山岸 正明, 宮崎 隆子, 前田 吉宣, 山本 裕介, 浅田 聡 (京都府立医科大学附属病院小児医療センター 小児心臓血管外科)

キーワード:右側大動脈弓, 大動脈離断症, 大動脈弓再建

【背景】RAAを伴うIAAは非常に稀な疾患である。従来報告されている直接吻合による大動脈弓再建では右気管支や右肺動脈への圧迫が危惧される。一方、人工血管等の補填物使用は遠隔期の再狭窄が懸念される。今回、自己肺動脈壁ロール(Pulmonary Auto-graft Tube:PAT)を用いることで、気管圧迫を回避し自己組織のみで大動脈弓を再建し得た1例を経験したので報告する。【症例】生後23日、体重2.5kgの女児。胎児エコーで心奇形を指摘され、在胎35週6日、帝王切開で仮死なく出生。生後のUCG及びCTにてIAA typeB、RAA、PDA、VSD、ASD、大動脈弁下狭窄、左鎖骨下動脈起始異常、左肺動脈狭窄と診断。また、22q11.2欠損の染色体異常も指摘された。二期的手術の方針として生後8日目に右側開胸での右肺動脈絞扼術を、生後23日目に根治手術を施行した。【手術】根治手術は胸骨正中切開でアプローチ。下行送血を併用し体外循環確立、PDA離断。心停止後、主肺動脈壁を30x10mm程度採取し、φ7mmサイザーを用いて約10mm長のPATを作成。上行大動脈と下行大動脈との間にPATを間置して大動脈弓再建。SASの原因となっていたtissue tag切除しVSDパッチ閉鎖、ASD直接閉鎖。肺動脈は一部採取した肺動脈壁を補填する事で、自己肺動脈組織のみで再建した。手術時間6:17、心肺時間3:22、遮断時間1:32。【結果】術後CTでは再建大動脈に狭窄認めず右気管支及び右肺動脈の圧迫もなし。起始異常を伴っていた左鎖骨下動脈も温存。肺動脈も狭窄なく再建。乳糜胸を合併したが経過良好にて術後50日に退院となる。【結語】大動脈弓再建において肺動脈壁をパッチとして用いた報告はあるが、本症例のようなPATを用いた再建の報告は無い。本法は自己組織のみでの再建方法であり、人工物補填の際に懸念される石灰化や狭窄の問題が無く、遠隔期の成長も期待できるため小児において有用な術式であると考えられる。