第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

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左室流出路狭窄②

Fri. Jul 17, 2015 1:50 PM - 2:26 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:野村 耕司 (埼玉県立小児医療センター)

II-P-173~II-P-178

[II-P-173] 重症大動脈縮窄症、大動脈離断症に対する自己組織補填による大動脈修復術式の検討

小沼 武司1, 阪本 瞬介1, 近藤 真理2, 淀谷 典子2, 大橋 啓介2, 澤田 博文2, 三谷 義英2, 駒田 美弘2, 新保 秀人1 (1.三重大学医学部大学院医学研究科 胸部心臓血管外科, 2.三重大学医学部大学院医学研究科 小児科)

Keywords:大動脈縮窄症, 大動脈離断症, 自己組織

【背景】大動脈縮窄症、大動脈離断症の大動脈修復術で吻合部位の距離が大きい例や、大動脈弓低形成合併例では直接吻合による左肺門部圧迫のリスクがある。近年Glutaraldehyde処理自己心膜補填の遠隔期安全性が明らかになってきており、補填物使用による術式の選択拡大が期待される。【目的】当院では2001年よりGlutaraldehyde処理自己心膜を導入している。補填物使用による術式の検討と、術後画像検査での検討を行った。【方法】新生児もしくは乳児早期の大動脈再建を行った症例のうちGlutaraldehyde処理(0.625%、10分間浸漬)自己心膜を用いた6症例と、肺動脈壁をロール状血管として置換術を行った1例について検討した。術後遠隔期の造影カテーテル検査3例について検討した。パッチ補填部の大動脈径(PAO)/遠位下行大動脈径(DAO)等を計測した。【結果】手術時年齢2.0±2.1m(10d-6m)、手術時平均体重3.4±0.5kg (3.0-4.0kg)、診断はIAA, VSD4例、DORV, sever CoA 2例、IAA, AP window1例。術式は低形成大動脈弓部のパッチ拡大4例、自己組織グラフト置換2例、Blalock-Parkのグラフト補填1例であった。グラフト置換では、DORV, IAA, RAAは自己心膜で、IAA, VSDで吻合部位に非常に距離があった症例に肺動脈壁をロール状血管として置換した。根治術として5例が二心室修復術、2例が一心室修復術を行った。術後早期に2例で大動脈形成部位の再手術を必要とした。1例に手術死亡を認めた。検査時観察期間14.3±9.5m、検査時年齢1.6±5.7y 、検査時体重7.0±4.2kgであった。PAO/DAOは1.06±0.33で瘤状変化症例は認めなかった。【考察】自己組織のみの大動脈修復はNorwood型大動脈形成術でも左肺門部圧迫はリスクであり、特に二心室修復術では補填物使用の有用性が期待される。【結語】Glutaraldehyde処理自己心膜は遠隔期においても形態異常は認めず、自己組織補填は大動脈形成法の選択枝の一つとして期待される。