[II-P-175] 最近当院で経験した連続5症例(HLHS及び類縁疾患)に対する外科治療
キーワード:左心低形成, 手術成績, ノーウッド
【背景及び目的】左心低形成症候群(HLHS)及びその類縁疾患群は、先天性心疾患の中でも非常に重症な疾患群である。外科治療法は現在でも治療成績向上のため様々な試みがなされている。現在、我々の施設では、生後早期に両側肺動脈絞扼術(Bil-PAB)を行い、生後1ヶ月前後にRV-PA conduitを用いたNorwood手術を行うことを方針としている。(出生体重2kg前後以下の場合、Bil-PAB後、約3kg前後になってからNorwood手術を、体重がそれ以上の場合は、生後1か月前後目標とし、Norwood手術を行う。) 【方法】2012年1月~2015年1月までに左心低形成症候群(HLHS)及びその類縁疾患群連続5症例について、外科治療成績について検討した。性別:男: 5例、体重: 3.2kg, 年齢:38day 疾患:HLHS:4例(MA, AA:3例、MS, AS:1例), Dextro, SRV, MA, DORV, Hypoarch:1例に対して、全例生後8日以内Bil-PABを施行後RV-PAconduitを使用したModified Norwood手術を施行した。【結果】手術は全例自己組織のみ使用した大動脈再建を行い、RV-PA conduitは、5もしくは6mm e-PTFE graftを用い再建大動脈の右側に縫着した。5症例中1例のみ体外循環離脱時、低酸素血症を認め補助循環を必要としたが、それ以外の症例はすべて1週間以内に閉胸し人工呼吸器から離脱した。補助循環を施行した1例のみサイトメガロ呼吸器感染症のため術後9ヶ月後に呼吸不全にて死亡した。全例で再建大動脈狭窄を認め無かった。残り4例はBDG(弁形成術を含む)を施行後現在TCPC待機中である。【考察】手術枠が少ない当院のような小さな施設では、体外循環を使用する手術は定期手術枠に入れる必要に迫られる。Bil-PABは、時間を作るためには有効な手段でした。【結論】最近経験した左心低形成症候群(HLHS)及びその類縁疾患群に対する外科治療成績は良好であった。