第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8
小児循環器領域における臨床研究と治験の進め方

2015年7月17日(金) 10:25 〜 11:55 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
中川 雅生 (京都きづ川病院)
三浦 大 (東京都立小児総合医療センター)

II-S08-01~II-S08-07

[II-S08-03] 臨床研究のプロセス:データ収集と解析の進め方-新しい倫理指針を踏まえて

森川 和彦 (東京都立小児総合医療センター 臨床研究支援センター)

キーワード:臨床研究, 研究倫理, 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

「学会の演題登録の締め切りまで1週間.そろそろカルテを調べ始めよう」,「締め切りが延びたから、あと5例追加してみるか・・・おっ,P値が0.047になった!」このような質の低い研究はできない時代になっている。2015年4月1日から施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき,倫理的な研究の実施方法について考えてみたい。近年多くの医学系研究にまつわる不祥事があり,倫理的問題が特に注目されている.研究倫理には,被験者の人権侵害やデータのねつ造・改ざんにとどまらず,社会的価値,科学的妥当性,適正な対象の選択,利益と不利益のバランス,第三者による審査,説明と同意,被験者の尊重,利益相反など,多岐にわたる事項が求められている。これからの臨床研究では,質を担保するために準備と過程がより重視される。研究を実施する前に,実施計画書を作成し,第三者による評価を受けなければならない。実施計画書には対象や方法のみならず,エンドポイント,解析方法,必要症例数も記載する。データ管理では,クリーニングを徹底し,研究者が自らデータを扱うことの危険性を認識し,できればデータセンターを利用して監査・モニタリングにも対応する必要がある。前方視的研究だけでなく後方視的研究であってもこれらの準備は必要であり,事前にデザインやエンドポイントなどの研究計画を検討しておく必要がある。臨床研究の推進のためには,研究者が守るべきルールを理解し,楽しく行える環境が重要である。多くの医師が関わる一般的な臨床研究を対象に,データ収集や解析のポイントを解説する。