[II-S08-04] 臨床研究のゴール:論文の書き方-あなたにも書ける
Keywords:学術論文, 査読, 臨床研究
臨床研究、基礎研究を問わず、医学論文の書き方には決められた一定の体裁が必要である。それに従っていなければ科学論文として受理されないのが現実である。我々小児循環器医が携わる臨床研究は、疾患と年齢の多様性から、また対象が小児であるという倫理的問題から、前向き介入研究は少なく、後向きの観察研究が主体となる。ただし観察研究においても、日常の臨床現場で湧いてくる疑問点もしくは問題点(research question)に対して、その答えを得るために論理的方法を駆使して情報を分析し、考察を加えて結論(research answer)を導くことには変わりない。[Title]できるだけ短く論旨をまとめる、もしくは結果結論を端的に表現する。[Abstract] 原則として雑誌の様式に従うが、背景(仮説)、方法、結果、結論を論理的に記述した構造的要旨が勧められる。[Introduction] 科学論文の中で最も重要な部分。なぜこの研究を行ったか、目的を読者に明確に示す。起(背景および疑問点)・承(これまで分かっていること)・転(今回の研究の目的と何が新しいかを示す)・結(結論を端的に表現)に分けると理解されやすい。[Patients and Methods] 研究デザイン、対象となる患者の条件、介入の有無、評価方法、統計解析の方法、倫理的配慮などを端的に記載する。[Results] 研究結果および統計解析を、図表を用いて科学的に表現する。[Discussions] 結果のまとめ、研究結果の科学的な自己分析、結果の優れた点と限界、今後の展開、結論、以上を正確に誇張せずに述べる。これら以外に重要なことは、研究開始当初から、論文、特にIntroductionを書き始めることである。そうすれば研究の目的や必要な方法、結果の正しい評価が研究を進めながら理解できるとともに、研究終了時にデータが不足して困ることもない。また臨床に忙しい我々は、毎朝30分でも早く来て論文を書く習慣を身につけることも重要である。