[II-S08-06] 小児循環器領域における未承認薬・適応外薬の現状と問題点
Keywords:小児臨床試験, 薬事承認, PMDA
【背景】小児循環器領域では従来臨床試験の実施が困難とされており、治験を実施して薬事承認を得た薬品は少なく、未だに適応外薬使用が多い。【目的】医薬品医療機器総合機構(PMDA)での小児循環器治療薬に関する治験相談及び承認状況から臨床試験実施における問題点を抽出する。【結果】2004年4月PMDA設立から2014年12月までに新薬審査部で実施された循環器治療薬の治験相談329件のうち、小児開発に関わる相談は13品目(複数回の相談、事前面談を含む)であり、内訳は、肺高血圧7、川崎病2、高血圧、抗凝固薬、抗不整脈薬、高脂血症各1であった。相談時の主な論点は国際共同治験への参加可否、海外試験成績の利用、症例数等であった。一方、同期間に承認を得た薬剤は12品目あり、内訳は高血圧4、抗不整脈薬3、川崎病2、抗凝固薬、及び新生児呼吸不全他各1であった。11品目が「小児薬物療法検討会議」や「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」への要望提出により公知申請に該当した品目で、治験を実施したのは1品目にすぎなかった。【考察】医薬品の小児開発について、企業側より不採算性、臨床試験立案のタイミングや臨床評価の問題、同意取得が困難であること等が指摘されている。それらに加えて、希少疾患で患者の組み入れが困難であるため集約的な試験実施がほぼ不可能であり、試験終了までに長期間を要すること、治療ガイドラインが少なく、臨床評価基準が一定していないこと等が問題点として挙げられる。また、臨床現場で広く使用されている薬剤であっても、海外で小児の適応を取得していなければ公知申請には該当しない。【結論】今後循環器治療薬の小児適応を取得するためには、医師主導治験を含めて積極的な臨床試験実施が望まれる。海外で先行する国際共同治験への参加はもとより、学会による臨床評価基準やガイドラインの策定、患者登録制度による効率的な患者組み入れ等検討されるべきである。