[II-S09-04] 小児重症心不全診療における施設間連携に関する検討 ~搬送例の経験から~
キーワード:重症心不全, 心臓移植, VAD
【背景・目的】近年、全国からの小児重症心不全患者の相談が増える傾向にあり、内科的管理から移植適応評価やVAD装着などを含め、随時受け入れを行っている。これに伴い、ハイリスクの小児重症心不全患者を搬送することも重要な課題となる。今回、当院での小児重症心不全患者の搬送経験を後方視的に検討し、施設間連携の在り方を考察した。【患者背景】2010年の改正臓器移植法以降、16人の小児心不全患者が病院間搬送転院となっている。男女比は8:8、転院時年齢は中央値4歳9ヶ月(0歳5ヶ月~14歳3ヶ月)、診断は心筋症13例、劇症型心筋炎3例であった。転院理由は内科管理8例、VAD装着目的8例であった。【結果】紹介元病院は北海道・東北地方2例、中部地方6例、北陸地方3例、近畿地方4例、九州地方1例で陸路搬送が10例、陸路を含めた空路搬送が6例であった。搬送者は紹介元医師10例、当院医師4例、共同2例であった。紹介・患者説明後の計画搬送が8例、予定緊急が2例、説明と同時に緊急搬送したものが6例であった。搬送時の人工呼吸管理が8例、PCPS装着が6例と集中管理下の搬送となっていた。転帰は退院6例(植え込み型VAD3例)、海外渡航移植1例、入院中3例(内科管理1例、VAD1例、心移植後1例)、死亡5例であった。死亡例と生存例との比較を行ったが、年齢・身長・体重、急性増悪から転院までの期間、呼吸管理やPCPS装着、DOB・PDEIII inhibitor持続点滴等を含めて明らかな差はなかった。また当院搬入までに大静脈閉塞が4例にみられた。【考察・まとめ】小児重症心不全患者を搬送するタイミングは非常に難しい。急性増悪時にやむなく緊急搬送することもあるが、家族への十分な説明と計画的な搬送が望まれる。また将来、心臓移植への可能性も考え、PCPSや中枢ルート確保の部位についても今後留意する必要がある。