第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム9
小児心臓移植医療・補助循環

Fri. Jul 17, 2015 2:40 PM - 4:10 PM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
福嶌 教偉 (国立循環器病研究センター)
市川 肇 (国立循環器病研究センター)

II-S09-01~II-S09-06

[II-S09-06] 植え込み型補助心臓の被植え込み患者および心臓移植レシピエントの経験

青墳 裕之 (千葉県こども病院 循環器科)

Keywords:補助人工心臓, 心臓移植, レシピエント

【背景・目的】植え込み型補助人工心臓(以下LVAS)を経て心臓移植レシピエント本人を経験した。患者として受けた体験をお伝えし、小児心臓病医療発展の参考にしていただくこと。【経過、経験】拡張相肥大型心筋症。48才VF、ICD植え込みその後CRT-D導入も病状悪化し退院不能となり心移植適応と診断され、56才にてLVAS植え込み術を受けた。2年7か月待機後58才にて心臓移植レシピエントとなった。「経験1:LVAS(DuraHeart)」。植え込み術後7週間で退院。本体は異物感、振動、周囲に聞こえるような作動音いずれもなし。コントローラーとバッテリー二個をバッグに入れ肩にかつぎ(約3kg)、外出時は予備コントローラー及び予備バッテリーをカートで持ち歩いた。平地歩行500m、階段二階まで可。時に倦怠感、立ちくらみあり。術後約5か月半で復職。デスクワークだが週5日ほぼフルタイム、通勤は家族による送迎と公共交通機関を併用。レジャーとしての外出も頻回。ドライブライン挿入部の感染および神経学的合併症の発生、電源喪失への不安は大きかった。TV電話システム、メール等による病院スタッフとのコンタクトなどにより大きな安心感をいただいた。退院できない状況からこれだけの生活が可能になり、それだけでも十分感謝に値する医療であると感じた。「経験2:心臓移植レシピエント」無事手術が終わり家族と面会したときの感動は、ありがたさや到達感などすべてが未体験で言葉にしえない感動であった。移植後約3か月半で復職。術後10か月頃より学会参加なども再開、現在移植後約1年半であるが、ほぼ年齢相応の普通の生活に近い活動状況で、感謝の意にたえない日々を送っている。【まとめ】当たり前である脈拍や鼓動に感謝する毎日である。より多くの重症小児心臓病の患者さん達が、患者としての大きな喜びを医療からえられることを、患者としても医療者としても祈る日々である。