[II-S10-04] 遺伝性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーション
高周波カテーテルアブレーションRFCAは様々な不整脈疾患に適応されており、一部の遺伝性不整脈(Brugada症候群、カテコラミン誘発性多源性心室頻拍CPVT、特発性心室細動など)に対する有効症例も報告されるようになってきた。当院では遺伝性不整脈患者に対してRFCAを施行した3例を経験している。当院の経験を含め文献的考察を加え報告する。症例1:12歳男子。学校の水泳授業中に心肺停止で発見され、救急隊の除細動により救命された。救命後のモニター心電図で多源性非持続性心室頻拍PNSVTが観察されていた。当院紹介後は運動負荷試験、カテコラミン負荷試験でもVPC二段脈が記録されるのみであった。このVPCを標的にRFCAを行いVPCは消失し、一時的に有効であった。その後リアノジン遺伝子の異常が判明しフレカイニド、カルベジロールの内服を継続している。症例2:15歳男子。自宅で失神し救急隊の除細動で救命されている。運動負荷試験でPNSVTが誘発され、カテコラミン負荷で二方向性VTが生じCPVTと診断した。カテコラミン負荷中VPCのタイミングと一致するT波終了後exit blockを伴う大きな拡張期電位が得られ同部位に対してRFCAをしたが十分な効果は得られなかった。フレカイニド、カルベジロールの内服を継続し症状は認めていない。症例3:12歳女児。テレビを見ている際に失神し、Holter心電図で300bpm程度の単形性VTを認め精査加療を目的に紹介となる。安静時12誘導心電図では、正常洞調律、72bpm、QTc0.443であった。入院中propranolol内服下でも非持続性VTを繰り返した。一部Torsades de pointesが記録されていた。RFCAを行い単形性VTは消失した。脱力症状がありLQTSを疑い遺伝子解析を行ったところ既報の HERG遺伝子の変異が検出された。トリガーとなるVPCに対するRFCAは、遺伝性不整脈に対しても有効である可能性がある。