第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム11
Interventionに必要な画像診断

2015年7月17日(金) 09:20 〜 11:15 第2会場 (1F ペガサス B)

座長:
富田 英 (昭和大学横浜市北部病院)
石井 正浩 (北里大学)

II-S11-01~II-S11-06

[II-S11-05] 小児例の経皮的心房中隔欠損閉鎖術における心腔内心エコー法の有効性と限界

上田 秀明, 柳 貞光, 渡邊 友博, 新津 麻子, 小野 晋, 金 基成, 西澤 崇, 康井 制洋 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:AcuNav, 心腔内心エコー法, erosion

【背景】局所麻酔で心腔内画像が得られる利点を有するAcuNavTMカテーテルガイド下の経皮的心房中隔欠損閉鎖術の報告例が散見される。従来よりUltra ICETM(Boston Scientific Corporation, San Jose, CA, USA)が用いられてきたが、放射状の単一横断面の画像しか得られず、欠損孔の全体像の把握、十分なrimの観察が困難であった。一方AcuNavTMカテーテル(Biosense Webster, Inc, Diamond Bar, CA, USA)はPhased-array方式で、左右前後に屈曲可能である。経皮的心房中隔欠損閉鎖術におけるAcuNavTMカテーテルを用いた心腔内心エコー法の有効性と限界を検討する。【方法】対象は、2012年5月~2015年1月までに経皮的心房中隔欠損閉鎖術の際に、経食道心エコー法(TEE)に加え、AcuNavTMカテーテルを用いた15歳未満の症例。全例Siemens ACUSON S2000TM超音波装置と8FrAcuNavTMカテーテルを使用した。【結果】女児40例を含む64症例にAcuNavTMカテーテルを併用。年齢は7.2±3.4歳、体重は24±11kg。AcuNavTMカテーテルやTEEによる計測された欠損径はそれぞれ13.8±5.6mm、13.1±5.4mm (p<0.01)、サイジングバルーン径は17.0±5.8mm、16.5±5.8mm (p<0.01)。aortic rimは4.2±1.4mm、3.6±5.4mm (p<0.01)、IVC rimは11.1±4.7mm、9.7±4.8mm (p<0.01)。【考察と結論】AcuNavTMカテーテルによる欠損孔の計測値は、TEEの計測値と有意差を認めなかった。TEEに比べAcuNavTMカテーテルによるIVC rimの観察は優れており、rim長の計測値も有意差を認めないものの、より長く観察された。また閉鎖栓の右房側のdiskの大動脈との接着面の観察に有効であった。一方でリアルタイム三次元画像構成が出来ないこと、AcuNavTMカテーテルの操作が限定されることから、20mmを超える欠損孔の全体像の把握が困難であった。時間分解能の高い画像が得られることから、小児例でも心腔内心エコー法は有効で、erosion等の合併症を回避しうると期待される。