[II-S11-06] (特別発言) 先天性あるいは後天性血管病変のカテーテル治療における心腔内エコーの有用性
キーワード:心腔内エコー, カテーテル治療, デバイス
【目的】PDAのデバイス閉鎖術や大動脈縮窄(CoA)へのステント留置術は、治療前の造影所見をもとに、解剖学的Landmarkを記憶し、デバイスとの関係を想定しながら行うものであり、デバイスと周辺組織を実際にモニターすることはできない。本研究の目的は、先天性や後天性血管病変のカテーテル治療の際における心腔内エコー(ICE)の有用性について検討することである。【方法】対象は9例で、PDA7例(6-76歳、腎機能不全1例)、CoA1例(13歳)、上大静脈(SVC)症候群1例(37歳、造影剤アレルギー)。PDAは径1.8-6.3mmでQp/Qsは1.2-2.2、治療はADO6例、コイル1例。ICEカテーテルとして8Fr AcuNavを使用し、いろいろな心腔や血管内から病変を描出し、カテーテル治療のガイドとして、病変の形態評価、治療のモニター、治療後の評価における有用性について検証した。【成績】いずれの疾患においても経肺動脈のICEが有用であった。SVC症候群では、主肺動脈(MPA)にICEを置き、回転させ右に向けることで、SVCの狭窄部とその血流、ステント留置の様子を観察することができた。また、右房内で後屈し上方を見ることで、直線的にSVCとstent内の血流を評価でき、血栓を描出し、バルーンによる血流の改善をみることができた。PDAではMPAで後方を見ることで、小児の経胸壁エコーでの大動脈短軸断面と相同の像を得ることができた。また、ICEを左肺動脈(LPA)に進め、上下を反転・後屈することでLPAからPDAの長軸像を描出できた。それぞれ、PDAの径、血流を計測でき、デバイスの留置をモニターし、遺残短絡を評価できた。CoAでもPDAと同様のLPA断面で狭窄部の径、形態、血流を計測でき、ステントの留置をモニター、留置後の狭窄の有無を評価することができた。【結論】先天性や後天性の血管病変のカテーテル治療の際に、MPAやLPAからのICEは有用なガイドとなり得る。高齢者の腎機能低下例では特に有用と考える。