[II-TRO-02] 先天性心疾患における出生前診断から移行期までのサポートシステム~伴走者としてのリエゾンナースの役割~
キーワード:先天性心疾患, サポートシステム, 移行期
【はじめに】先天性心疾患領域において、胎児診断が、出生直後の救命に繋がっている。また、小児期の治療技術の進歩により、成人期に達する患者数は増加していることから、移行期医療が注目されている。A大学病院では、胎児期での先天性心疾患の診断時から、新生児・小児期、成人期へと継続的な治療・ケアを受けることができるシステムを構築している。そのシステムの中で、子ども・家族、医療者の伴走者の役割を担うリエゾン精神看護専門看護師(以下リエゾンナース)の視点から、システムを報告する。尚、本報告において個人保護を遵守している。【取組み】A大学病院における先天性心疾患の子ども・家族の治療・ケアシステムには、産科・小児科・環器内科の医師、看護師、コメディカルなど多職種がチームメンバーであり、治療やケアに応じて流動的に変化する。チームメンバーであるリエゾンナースは、胎児期に先天性心疾患の診断を受けた時点で、母親のメンタルサポートを中心に関わりを開始する。出産以降は治療やケアに応じて、治療・ケアの場と関わる医療者が変化するため、子ども・家族に伴走しつつ、その時々の医療者との密な情報共有を行う。そして、小児科から循環器内科への移行期を診る外来の医師と連携し、成人期医療に繋げるシステムである。【考察】先天性心疾患を指摘された母親は絶望感や自責感を抱くと言われており、継続する治療の中で母親はその感情を持ち続ける。また、子どもと家族は、疾患・治療だけでなく、変化する医療者との関わりにも不安を抱くと考える。丹羽(2011)がこのような経過において、専門家によるシステムの必要性を述べている。また、妊娠期からの伴走者の存在は、医療者が子ども・家族の理解ができ、双方のストレス緩和に繋がると考える。これらの点から、A大学病院のシステムは、質の高い医療の提供に繋がると考える。今後、システムとしての評価が課題となる。