[II-TRO-04] 心臓の手術を受ける子どもと家族への心理社会的支援
Keywords:手術, プリパレーション, 心理社会的支援
【背景】心臓の手術を受ける子どもと家族の不安や恐怖を軽減するための支援が重要となるが、子どもへの病気や手術についての説明に関して不安や困惑を抱える医療者や保護者も少なくない。当院では医師とチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)が相談しながら子どもの発達段階に合わせた病気説明や手術について心理社会的支援を行っている。本症例より様々な示唆を得たためここに報告する。【研究方法】事例検討。本事例を検討するにあたり、家族に了承を得て個人の特定が出来ないようなプライバシーの保護に配慮した。【事例紹介】不完全型房室中隔欠損症の5歳の女児。入院時に児の理解や思いと共に、両親の思いや児への説明の意向を確認とした。児の認知発達や性格傾向を踏まえた上で医師とCLSが連携し、児への病気や手術についての説明と術前・術後の心理社会的支援を行った。【結果】『心臓を治してもらう』という児の認識を踏まえ、心臓の働きや構造について児の理解を確認しながら説明を行った。また、児が安心して手術室へ入室できるよう、写真や医療資材等を用いて児へ説明し、コントロール感を持てるような工夫を行い、帰室時の状況や術後の経過についても見通しを持てるように働きかけた。このような支援を行うことで、手術当日は両親とハイタッチをしてから入室し、術後の処置時にも介入することで協力的に取り組んでいた。また、児の言動からも、手術や処置等に対し「~された」という受け身ではなく、医療スタッフと一緒に治療や処置に臨んだという思いを持っていることが伺えた。【考察】児の発達や理解度に合わせた病気説明や手術に対するプリパレーションを行うことで、児の疾患理解を深め、医療者との信頼関係を築くことに繋がったと考えられる。また、医療者に対する児の認識が肯定的なものに変化することで、医療を受ける上での子ども自身の取り組みや姿勢に良い影響を与えることが示唆された。