第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)1
周産期・育児・心理社会支援

Fri. Jul 17, 2015 9:00 AM - 9:45 AM 第7会場 (1F シリウス)

座長:権守 礼美 (神奈川県立こども医療センター)

II-TRO-01~II-TRO-05

[II-TRO-05] 先天性心疾患児とその家族の心理支援

吉野 美緒, 小華和 さやか, 渡邉 誠, 深澤 隆治, 小川 俊一 (日本医科大学 小児科)

Keywords:精神神経発達, 発達評価, 発達相談

【背景】CHD児において高頻度に精神神経発達の問題が生じることが知られている。【目的】当院では2011年から臨床心理士による院内での心理療法・発達相談を開始し、2012年から循環器心理外来を設置し、外来での心理療法・発達相談を開始している。2011年4月~2014年12月の活動について報告する。【方法】対象児14名(男児9名女児5名)。VSD8名(21trisomy4名を含む)、AVSD1名(21trisomy)、ASD1名、DCM1名、HCM1名(Noonan症候群)、TOF1名、SV1名。全例とも出生直後から小児科主治医によるfollow upが行われていた。初回心理相談時の年齢は、median=1歳6か月(range=0歳0か月~12歳1か月)、支援開始時期は、診断直後~3か月未満4名、3か月~1歳未満2名、1歳以上8名。【結果】診断後1年以上で介入した群(median=2歳2か月)では、児が幼児期(5例)の場合、発達相談、幼稚園等集団適応の問題が主となった。また学齢期(3例)では、発達相談、学校適応の問題に加え、本人の疾患理解・疾患受容の問題が主となった。全例に発達評価を実施(幼児期群にはBayley3を用い、学齢期群にはWISC-3または4を用いた)。DQまたはIQが平均域以上であったものは3名、境界域が3名、発達遅滞域が2名であった。対応として、発達評価に基づく家族への助言、幼稚園・小学校等関係機関への助言を行った。また、本人の年齢・理解力に応じて、本人への心理療法を行った。【考察・結語】CHD児の精神神経発達の問題に対応するためには、正確な発達評価とそれに基づく助言を行い、関係機関との積極的な連携を図ることが必要である。CHD児においては、境界域に該当する児が多く、長じてから問題が顕在化する可能性が考えられるため、長期に渡って支援を継続していく必要がある。