第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)2
移行支援・家族支援

Fri. Jul 17, 2015 3:25 PM - 4:10 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:落合 亮太 (横浜市立大学)

II-TRO-06~II-TRO-10

[II-TRO-08] 小児専門病院の成人先天性心疾患患者の現状と成人医療への移行に関する課題

権守 礼美1, 柳 貞光2, 上田 秀明2, 麻生 俊英3 (1.神奈川県立こども医療センター 看護局, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器科, 3.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

Keywords:先天性心疾患, 成人医療, 移行支援

【背景】先天性心疾患患者の多くが成人期を迎えても小児科医の診療を受けているのが現状である。【目的】小児専門病院の先天性心疾患患者の成人医療への移行の現状を把握し、支援体制の課題を明らかにする。【対象と方法】2011年1月から2013年12月までに当院循環器科外来を受診した18歳以上の先天性心疾患患者、335例(男性170例、女性165例、年齢:23.4±4.3歳)を対象とした。成人医療施設への移行について、移行完了および移行について説明した例を「移行済」、受診を継続、移行できていない例を「未移行」、その時点で診療終了した例を「フォローオフ」と定義し、年齢分布、疾患重症度、染色体異常の有無、心疾患以外の合併症の有無に関して移行の現状を診療録より後方視的に調査した。本研究は看護倫理委員会の承認を得た。【結果】患者全体で「移行済」154例、「未移行」146例、「フォローオフ」35例で43%が未移行であった。年齢を18歳以上22歳以下、23歳以上29歳未満、30歳以上に分けると、30歳以上の33例中21例(64%)が「未移行」で有意に多かった。(p<0.05)疾患重症度では単純心奇形群と複雑心奇形群に分けると、単純心奇形群で、「未移行」が有意に少なく、「フォローオフ」が有意に多かった。(p<0.001) 染色体異常を合併する患者は74例(22%)で、合併の有無で移行の差異には影響なかった。心疾患以外の合併症例では、「未移行」が75例中43例(57%)で、有意に「未移行」が多かった。(p<0.05)【結語】30歳以上、複雑心奇形さらに心疾患以外の合併症の存在が成人医療への移行を困難にしていることが明らかになった。長期間の小児病院への依存、病状の複雑化や社会心理的問題が原因と考えられる。それらの側面から移行支援を考えてゆく必要がある。