第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)2
移行支援・家族支援

Fri. Jul 17, 2015 3:25 PM - 4:10 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:落合 亮太 (横浜市立大学)

II-TRO-06~II-TRO-10

[II-TRO-10] 先天性心疾患のわが子亡くした母親の悲嘆プロセスの考察 -母親の回顧的な語りから- 第2報

斉藤 ふみ子 (東京女子医科大学病院八千代医療センター NICU)

Keywords:小児循環器, 母親, 悲嘆プロセス

【背景】前回、先天性心疾患の子どもを亡くした母親の語りから、医療者の看取りケアの重要性を報告した。今回は、子どもの死後、母親の心理的変化について、どのような悲嘆プロセスを辿り、悲嘆の回復に影響した要因は何かを分析した。【目的】 母親の回顧的な語りを基に、子どもを亡くしてから現在までの悲嘆プロセスを知ることで、その影響要因を明らかにしグリーフケアの示唆を得る。【研究方法】データ収集期間は、2012年10月から11月。対象は、手術後死亡し2~5年を経過した児の母親6名とした。精神科治療中、既往のある場合は対象者から除外した。方法は、質問紙にて複雑悲嘆尺度を中島・伊藤ら(2010)の日本版の簡易複雑性悲嘆尺度を使用し訪ねた。半構造化面接は、「子どもを亡くしてから現在までの生活や気持ちの変化について」インタビューし質的に分析した。【倫理的配慮】本研究は、M大学大学院と研究実施機関の倫理委員会で承認を得て行った。また、文書および口頭で参加の自由、協力の中止、プライバシー・匿名性の厳守、学術目的のための公表を説明し同意書を得た。【結果・考察】母親は、「悲しみを受け止めていくこと」「子どもがいない現実を受け入れること」「子どものいない世界に適応すること」「子どもとの永続的な繋がりを見出すこと」の4段階の心理変容の過程が示された。そして、 子どもとの永続的なつながりを見出すと、悲嘆回復に繋がることが示唆された。 また、複雑悲嘆高群の母親と複雑悲嘆低群の母親のプロセスを比較すると、低群にはスピチュアルな適応があり、永続的な子どもとのつながりを見出すために重要な要因と考えられた。グリーフサポートは、この悲嘆プロセスに示されたように、子どもがいない現実を受け入れるため、コミュニケーションをとり母親の悲しみ、悲嘆の感情に向き合い、子どもの死を分かち合い乗り越えるために、頼れる人や支援の場が必要であると考える。