第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム(多領域専門職部門)

シンポジウム1(多領域専門職部門)
胎児診断を受けた家族への医療チーム支援-心穏やかに子どもを待つために

Fri. Jul 17, 2015 9:45 AM - 11:00 AM 第7会場 (1F シリウス)

座長:
河津 由紀子 (大阪府立母子保健総合医療センター)
日沼 千尋 (東京女子医科大学)

II-TRS1-01~II-TRS1-04

[II-TRS1-01] 母胎管理と分娩管理の現状と課題

村林 奈緒 (三重大学医学部 産科婦人科)

超音波の進歩に伴い、先天性心疾患の胎児診断は最近10年間で飛躍的に向上した。胎児診断率の向上は、特に、ductal shockを来す可能性があり、出生後早期から医学的介入を必要とする完全大血管転位症などの新生児予後の改善に大きな役割を果たしている。一方で、胎児診断は、妊娠中の母体や家族に大きな不安を与えることにもなる。胎児心臓超音波については、妊娠18週~20週台前半と妊娠30週前後の2回、スクリーニングを行うことが勧められている。20週台前半までの超音波で形態学的異常の診断はほぼ可能であるが、房室弁逆流を来す疾患などは、20週台前半では診断しにくいこと、分娩が迫った時期では羊水量や胎位、胎児の骨化などの影響で超音波診断が困難となることや説明の時間が十分に取れないことがその理由とされる。しかし、妊娠22週以前に診断した場合には、妊娠継続についての選択肢を残すことになり、対応には慎重を要する。当院では、胎児心疾患症例は、産科医と小児循環器科医がともに超音波を行い、診断および出生後に予測される状態・管理方法について、妊婦本人およびご主人に、産科医同席のもと、小児循環器科医から説明を行っている。妊婦本人のみへの説明では、家族の不安が増強する可能性があるためご主人同席のもとで説明することとしている。その後の管理については、基本的に産科医が行うが、毎週行われる小児循環器科とのカンファレンスで状態を報告する。また、出生後に手術が必要となる可能性のある症例については、小児心臓外科医とも情報交換をし、必要に応じて小児心臓外科医から妊婦や家族に説明を行っている。分娩は小児循環器科医待機のもとで行い、胎児の状態により、計画分娩・帝王切開を選択することもある。出生後に実際に診療に当たる小児循環器科医が妊娠中から関わることで、疾患への理解、出生後の治療の受け入れがスムーズとなることを目指し管理を行っている。