[II-TRS1-03] 新生児出生時のチーム医療と家族支援
胎児診断を受けた家族は、出産までの限られた時間の中で新生児の治療方針決定、出生時の蘇生方法、バースプランの再構築など様々なことを意思決定していく必要があり、同時に先天性心疾患の病態理解、疾患新生児の受容、その親となる事への受容も必要となる。また、家族の意思決定や受容過程へは家族背景や家族形態が影響を及ぼす。家族の反応は、漠然とした不安、疾患新生児へ否定的感情を抱くケース、夫婦で意見の異なるケース、積極的治療を選択するケースや選択しないケースなど様々で、医療チームは柔軟に支援することが求められる。当施設では、定期的に産科、新生児科による妊婦情報共有と産科外来、産科病棟、NICU、循環器ICUの看護師、助産師による、先天性心疾患、染色体異常、母体精神疾患、社会的ハイリスク妊婦の情報共有をしている。先天性心疾患を胎児診断された症例は、胎児診断直後より小児専門看護師、産科外来助産師を中心に精神的支援、治療方針決定への意思決定支援と先天性心疾患病態について情報提供を実施している。また、家族背景の情報より症例に応じて、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士の介入を依頼し、胎児期より新生児関連の多職種は継続した情報共有を図っている。新生児出生直後に治療を要する症例では、出生前より新生児科を中心に多職種がスムーズに連携を図り治療を行えるよう、関連する部署、職種による検討を充分に行い、シミュレーションを複数回実施する。治療を希望しない症例では、産前よりさまざまな可能性を検討し、出生後は家族が一緒に過ごせる場所、時間を支援し、治療方針の確認、決定はいつでも変更可能であること伝える。家族に常に寄り添うケアを心がけている。疾患の重症度に関わらず、新生児出生時は母子(父子)早期接触、ケアへの参加、協働の可能性を模索し支援することは、その後の家族のつながりを育むと考える。