[II-YB09-04] 拘束性心筋障害に伴う反応性肺高血圧に対する左心補助循環装置の効果
キーワード:重症心不全, 肺高血圧, 左心補助循環
【はじめに】重症心不全において拘束性心筋障害が合併すると、post-capillary PHにpre-capillary PH(prec-PH)が加わることでPHが増悪しさらなる循環不全に陥る。今回、心移植待機中にprec-PHが出現し左心補助循環装置(VAD)を導入することでPHが改善し、安定した管理が可能となった2症例を経験したので報告する。【症例】症例1:12歳男児。1歳時に拘束型心筋症・左室緻密化障害と診断。PHが徐々に増悪し、5歳時に僧帽弁形成術・PH治療薬が導入され一時的に改善したものの10歳時mPAP 45mmHg、Rp 6.2WUと高値を認めた。酸素負荷でmPAP 34mmHg、Rp 1.2WUと改善したため心移植登録を行った。しかしその後PHの増悪と失神を繰り返すためVADの適応と判断。VAD装着5ヶ月後mPAP 17mmHg、Rp 2.4WUと改善を認め、現在PH増悪なく通学しながら心移植待機中である。症例2:1歳男児。日齢17日に呼吸障害・心拡大認め、精査にて左室緻密化障害と診断。抗心不全治療が開始されるも心不全症状は軽快・増悪を繰り返していた。10カ月時に心移植登録。その後BNP上昇と失神を認め、心カテにて mPAP 65mmHg、Rp 13WUと高値を認めたため、VADの適応と判断した。VAD装着1カ月後 mPAP 25mmHg、Rp 2.5WUと改善認め、装着後45日目に心移植術施行。術直後は右心不全認めたが、NO吸入・ambrisentan導入により徐々に軽快し術後6日目に抜管、以降拒絶なく良好な経過を辿っている。【考察・結語】拘束性障害を伴う重症心不全に合併するPHに対して、VADを導入することで失神による突然死リスクの回避と肺血管病変進行を抑制しえた。移植待機中におけるPHの進行には常に留意し、移植施設と連携しながらVAD導入を含めた適切な治療戦略を考慮することが重要である。