[II-YB11-01] 当院が関わった学童心肺蘇生4例の検討 -学校心臓病検診と心肺蘇生の意義について-
キーワード:学校心臓病検診, bystander CPR, AED
【背景】学校心臓病検診(心検)が、心疾患、不整脈の抽出に有用であることに異論はない。近年、bystander CPR、AEDにより救命される症例が増えている。【目的】当院が関わった学童心肺蘇生症例を検討し、心検と心肺蘇生の意義について検討する。【方法】心検での対応、発症時の状況、CPR開始・AED作動までの状況、予後を診療録から後方視的に検討した。【結果】症例1. 13歳男児、中1心検でWPW症候群と診断、経過観察された。部活からの帰宅途中に、意識消失・転倒している状態で発見。救急隊の到着後からCPR開始され、AEDで除細動されたが、低酸素脳症となった。症例2. 15歳男児、徐脈で生後より通院、3歳時に左室心筋緻密化障害と診断。通学のバス車内で意識消失、同乗者によりCPRが開始された。救急隊到着後にAEDを使用したが、死亡した。症例3. 13歳男児、心検異常なし。部活のランニング中に意識消失し、教師によりCPR開始、AEDで除細動された。左冠動脈右冠動脈洞起始と診断され、手術を施行。後遺症なく改善した。症例4. 12歳男児、11歳時に感冒時の心雑音より閉塞性肥大型心筋症と診断。階段を昇った後に意識消失し、教師によりCPR開始、AEDで除細動された。ICD植込術施行。後遺症なし。【まとめ】症例1、2は心検等で診断されていたが心イベントを予防できなかった。さらに学校外でありbystander CPRかつ/またはAED使用がされず、不幸な転機となった。症例3は心検で診断がついていなかったが、学校管理下でのCPR、AEDにより後遺症なく救命できた。症例4は診断がついていたが予防はできなかった。しかし学校管理下で適切な心肺蘇生が可能であった。【結語】心検で高リスク例の抽出と適切な事前対応は重要であるが、限界がある。 心イベント時の救急隊到着後の救命処置だけでは後遺症のない救命は困難であり、bystander CPRとAED使用の重要性が再認識された。