[II-YB11-05] 小児循環器医の社会的貢献(患者家族教育セミナー・こども心臓教室を通して)
キーワード:小児循環器医, 社会貢献, 教育
【背景】近年、小学校における道徳授業の再構築が求められる中、命の重さ・尊さを教える生命倫理教育を含んだ、一般市民並びに学校児童生徒への講演・授業が徐々に広まりつつある。われわれ小児循環器医は生命の尊厳と直接向き合うことの多い現場での経験を基に、生命問題に正面から向き合い、次世代の子供たちの育成の為に、上記を講じる義務を負うものと考える。また小児循環器医として、子供たちの身近にいる心疾患を抱える児への理解を深めさせる一端をも担っている。【目的】当院通院中の患児、もしくは一般市民を対象とする、セミナーや教室を開くことで、どのような効果や反応が見られるかを検討する。【対象・方法】当院もしくは他院通院中のFontan患児ならびにその家族や先天性心疾患関連のコミュニティ等在籍者の合計130名を対象に、Fontan循環の基礎から薬剤・合併症・将来の展望までについて教育講義を含んだ「Fontanセミナー」を開催した。また、一般市民の児童生徒(10歳~15歳)約30名に対し、心臓の基礎から、AEDの使い方までを講義内容とした「こども心臓教室」を開催した。参加者からアンケートを記載して貰い、講義内容等の評価等を行って貰った。【結果】Fontanセミナー参加者からは「Fontan循環に対し、さらに理解を深めることができた」等概ね好評の内容であった。しかし一方で、患者家族間において受講前の理解度が異なり、家族間でセミナーに対する難易度感にばらつきが認められた。「こども心臓教室」も概ね好評で、良好なアンケート結果が得られた。【結論】小児循環器医が、社会活動として患者のみならず一般市民を含めて、教育・講演・講義を行う事によって、生命や倫理等の啓蒙活動は一定の成果が上げられる。