[II-YB12-01] 光干渉断層法(OCT)で明らかになった遠隔期川崎病冠動脈病変の特徴~内膜肥厚、中膜断裂は瘤病変のみならず、退縮部位にも存在する~
キーワード:川崎病, 冠動脈病変, OCT
【背景】川崎病冠動脈病変の長期予後は、今もなお不明である。一方、光干渉断層法(OCT)は成人循環器領域で普及している血管内イメージングデバイスであり、血管内超音波の約10倍、10-20μmの分解能を有し、冠動脈の3層構造:内膜・中膜・外膜を識別できる。これまで、遠隔期川崎病冠動脈病変についてOCTを施行し、詳細な検討が加えられた報告は見受けられない。【目的】川崎病遠隔期の冠動脈病変およびその周辺に対してOCTを用いて、冠動脈血管壁の性状を評価、検討を行い、さらにOCTの有用性を検証する。【対象と方法】当院で定期フォロー中のCAL症例で、2012年1月から2014年12月の間に冠動脈造影(CAG)を施行した17例。CAG施行時に、右冠動脈、左冠動脈に対してOCTを実施し、比較検討を行った。【結果】対象症例は17例(男12、女5)、発症年齢:中央値1歳2か月(0歳1か月~10歳11か月)、検査時年齢:中央値17歳10か月(11歳1か月~29歳3か月)、経過期間:中央値14年5か月(5年1か月~24年4か月)。OCTにて、急性期に拡張もしくは、瘤形成が確認された病変において、瘤内部、瘤の前後で、中膜断裂像、内膜肥厚を認めた。中には、CAGでは確認不可能であったが、OCTにて瘤内部の内膜内の層状石灰化、瘤入口部の狭窄、器質化血栓、活動性の血栓が確認される例があった。さらに、急性期に瘤が形成された病変のみならず、退縮が確認された部位に関しても、今回のOCTにて内膜肥厚や中膜断裂像を認めた。【考察】内膜肥厚と中膜断裂像は全例に認められており、川崎病冠動脈病変における主要な変化である可能性がある。【結論】川崎病血管炎の評価目的のためのOCTは、冠動脈後遺症の血管壁構造の変化を明らかにする可能性を有し、予後予測に有用となる可能性がある。